用語集

N1-メチルシュードウリジン」とは?

別名・英語表記:m1Ψ / N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)

治療用mRNAでウリジンの代わりに全置換して使う改変ヌクレオシドで、免疫回避と翻訳量向上を担う。

N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)は、mRNA医薬品のウリジンをすべて置き換えるために使われる改変ヌクレオシドです。置換によって自然免疫の過剰な刺激を抑えつつ翻訳量を引き上げられますが、これはキャップ構造など他の修飾と組み合わせて初めて設計として成立するものであり、単独で免疫回避のすべてが完結するわけではありません。

なぜウリジンを「全置換」するのか

mRNA医薬品の配列中にウリジンが残っていると、体内の自然免疫がそれを外来RNAと認識して警戒を強め、翻訳を妨げるリスクが生じます。そこで配列中のウリジンをすべてm1Ψへ置き換えることで、この「自然免疫による警戒」を弱め、翻訳される量を引き上げる手立てとして広く使われています。免疫原性の低減はm1Ψ置換だけで完結するわけではなく、キャップ構造の修飾と相補的に働くため、実務ではこれらを組み合わせて設計されることが一般的です。

利点と留意点のセットで捉える

m1Ψへの全置換が標準化されている背景には、免疫回避・発現量・安定性という三つの利点があります。一方で、翻訳忠実性という留意点も伴うとされており、利点だけで評価を終わらせないことが重要です。また、修飾塩基を全面的に取り込んだmRNAは、二重鎖形成の挙動や断片の質量に影響し得るため、分析・品質評価の場面でもm1Ψ置換を意識した設計が求められます。

自己増幅型mRNAでは使いにくい理由

通常のmRNA医薬では自然免疫回避の中心的な手法として機能するm1Ψ置換ですが、自己増幅型mRNA(saRNA)のようにRNAの複製機構を利用する設計では、そのまま適用することが難しくなります。複製の過程で生じる二本鎖RNAが自然免疫を刺激して増幅を止めてしまうという二律背反があり、m1Ψのような修飾戦略は複製を妨げるため単純には使えないという構造的な課題があります。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

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