Manufacturing Chemist の報道によれば、Elemental Machines が製薬・ライフサイエンス向けの資産管理基盤 「Resources Manager」を発売した。装置・保守・予約(スケジュール)・コンプライアンス記録を1つの運用画面にまとめ、研究開発・QC・製造の各現場で稼働効率と監査対応の準備状態を高めることを狙う。同社の発表によれば、既存の資産管理システムと併用することも、単独で導入することもでき、通信機能を持つ装置と持たない装置の両方を対象にする。予約・保守・校正・停止・空き状況を1つの共有カレンダーで扱う設計になっている。
「装置台帳」と「使える状態か」は別の情報である
GMP下の試験室では、装置ごとに複数の情報が並行して動いている。
- 資産としての情報:型式、設置場所、購入時期、責任者
- 適格性評価の状態:IQ/OQ/PQ をいつ実施し、次はいつか
- 校正の期限:期限切れの装置で取ったデータは使えない
- 保守の履歴:故障、修理、部品交換
- 使用の予定:誰がいつ使うか、空いているのはいつか
問題は、これらが別々の場所に置かれがちな点にある。台帳はスプレッドシート、校正は品質部門の管理表、予約はホワイトボード、修理記録はメールの中——という状態は珍しくない。
その結果として起きるのが、「校正が切れた装置で試験してしまった」「空いていると思って行ったら保守中だった」という類の事象である。どちらも装置そのものの問題ではなく、情報が分かれていることから生じる。
監査対応で問われるのは、記録の存在ではなく再構成できるか
査察や監査で装置に関して問われるのは、おおむね次の形をとる。
「この日のこの試験に使った装置は、そのとき校正が有効だったか。直前に修理していないか。していたなら、その後の適格性はどう確認したか」
これに答えるには、日付を軸にして複数の記録を突き合わせる必要がある。記録が別々のシステムにあると、この突き合わせに時間がかかる。準備状態(audit readiness)という言い方がされるのは、記録が「ある」ことと、聞かれた形ですぐ出せることが別だからである。
データインテグリティの観点では、記録が後から書き換えられていないことも問われる。監査証跡のレビューが現実的な運用に乗るかどうかは、記録がどこに、どういう形で残っているかに左右される。
未接続の装置を含める、という設計
発表で目を引くのは、通信機能を持たない装置も対象にするという点である。
試験室の装置は世代がばらばらである。ネットワークにつながる新しい機器と、つながらない旧型の恒温槽や天びんが同じ部屋に並ぶ。センサーで自動取得できるものだけを対象にした仕組みは、この現実の前で運用が二重化しやすい。
自動取得できる装置は自動で、できない装置は手入力で、同じ台帳に載せる——という形にしておくと、少なくとも「どこを見ればよいか」が一つに定まる。導入のしやすさという意味では、この割り切りが効く場面は多い。
※ 本ページは公開情報(Manufacturing Chemist の報道および同社発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。機能の範囲・対応装置・提供条件の詳細は一次情報および同社の公式発表をご確認ください。