Teflon-AF 製の二重管(tube-in-tube)サチュレーターで、液体中の酸素濃度を素早く精密に調整できることを示したプレプリントが bioRxiv に公開された。抄録によれば、臓器チップの用途を越えてヒト細胞の培養一般に使えることを示したもので、飽和に近い高い酸素濃度まで到達できます。性能は温度・流量・管の長さで変わり、酸素濃度が低い領域ほどこれらの影響を強く受ける一方、飽和に近づくと感度は小さくなるとされています。
ガスを「膜ごしに」入れる
二重管の構造は単純です。内側の管に液を流し、外側にガスを流す。内側の管がガスを通す素材(Teflon-AF)でできていれば、気泡を作らずにガスが液に溶け込みます。
気泡を立てないことには実務的な意味があります。細胞の培養では、通気による剪断とスパージングが細胞を傷める要因になり、泡が立てば消泡剤が要ります。膜を介した供給なら、この問題を避けられます。
低酸素を「条件」として使う場面
酸素濃度を下げる操作は、細胞治療や組織の培養で意味を持ちます。体内の多くの組織は大気よりずっと低い酸素分圧にあり、培養器の中の21%は生理的な条件ではありません。
- iPS細胞の分化誘導では、低酸素条件を使う工程があります
- 間葉系幹細胞の製造でも、酸素濃度が細胞の性質に影響するとされてきました
- 臓器チップでは、組織ごとに違う酸素分圧を再現する必要があります
問題は、濃度を素早く変えるのが難しいことです。培養器のガス相を変えても、液に溶け込むまでには時間がかかります。液の側で直接コントロールできれば、時間で変化させる条件(低酸素と再酸素化を繰り返すなど)も組めます。
工程に持ち込むなら、溶存酸素と酸素移動の設計として扱うことになります。単回使用の部材として使うなら、抽出物・浸出物の評価も要ります。
なお、これはプレプリントで査読を経ていません。細胞での検証範囲は抄録からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(bioRxiv のプレプリント)をもとにしたProglenth編集部による整理です。プレプリントは査読を経ていません。手法・結果の詳細は一次情報をご確認ください。