用語集

Cas9」とは?

別名・英語表記:キャスナイン

ガイドRNAと複合体を作り、指定された配列でDNA二本鎖を切断するヌクレアーゼ。

Cas9は、ガイドRNA(gRNA)に案内されてゲノム上の狙った配列を見つけ出し、そこでDNA二本鎖を切断するタンパク質(ヌクレアーゼ)です。切断そのものは強力な一方、「切った後の直り方をコントロールしにくい」という特性が、ゲノム編集の精度や安全性を議論するうえで常に問われます。

標的を認識する二つの条件

Cas9が狙った場所を切るには、二つの条件が同時に成り立つ必要があります。一つ目は、gRNAが指定するゲノム上のおよそ20塩基の配列と、対象のDNA配列が合致すること。二つ目は、その標的配列のすぐ隣にPAM(Protospacer Adjacent Motif)と呼ばれる短い決まった配列が存在することです。ガイドRNAはいわば「住所」を指定する役割を果たし、Cas9はその住所にある「表札(PAM)」を確認してはじめて切断に踏み切る、という二段階の照合が働いています。

「切ってから直させる」ことの問題

従来のCas9は二本鎖切断(DSB)を作り、その後の修復を細胞自身にまかせます。この修復過程ではインデル(小さな挿入や欠失)が生じやすく、直り方を細かくコントロールしにくい面があります。この課題への応答として、触媒活性を弱めたCas9(ニッカーゼ)に脱アミノ化酵素を融合した塩基編集や、同じくニッカーゼに逆転写酵素を融合したプライム編集が登場しました。これらはDSBを作らずに特定の塩基だけを書き換えられるため、より精密な改変が可能とされています。

オフターゲット切断とその検出

Cas9はgRNAが指定した配列と完全に一致していなくても、数塩基のずれを許して切断してしまうことがあります。これをオフターゲット切断と呼び、意図しないゲノム改変につながるリスクとして問題になります。検出手法の一例として、細胞に短い二本鎖DNA(dsODN)をあらかじめ導入しておき、Cas9が切ったDSBにそれが取り込まれるのを目印にして切断部位をシーケンスで網羅的に拾うGUIDE-seqという方法があります。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

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