Manufacturing Chemist の報道によれば、Codis が、原材料の物性評価と処方開発からスケールアップ、臨床試験用の製造を経て継続的な商用製造と供給までを、英国と米国の拠点にまたがって支援する体制を示した。
同社は、米国の Particle Dynamics と、EUROAPI が運営していた英国 Haverhill の噴霧乾燥拠点を統合して2025年10月に発足した CDMO で、噴霧乾燥と非晶質固体分散体(ASD)を軸とする。拠点は米ミズーリ州セントルイス、米インディアナ州シーモア、英ヘイヴァヒルにある。
なぜ噴霧乾燥が製造戦略の話になったか
低分子医薬の開発では、溶けない化合物の比率が上がってきた。標的の側から選んでいくと、脂溶性が高く結晶性の高い分子が残りやすいためである。
難溶性薬物の製剤化で取りうる手は限られる。粒子径を下げる、塩や共結晶にする、可溶化剤を使う、そして非晶質にする。
非晶質固体分散体は、結晶格子を壊した状態をポリマー中に留め、溶解度を見かけ上引き上げる。効果は大きいが、準安定状態を製品寿命のあいだ保つという条件がつく。ここが、この技術が「処方の工夫」で終わらず製造の話になる理由である。
つまり、処方を決めた時点で製造装置が半分決まっている。
「開発と商用を分けない」ことの意味
開発初期の処方検討と、商用規模の製造は、しばしば別の会社で行われてきた。前者は小型の噴霧乾燥機、後者は連続運転する大型機である。
分けたときに起きるのが、技術移管の断層である。
- 乾燥の相似が取りにくい。液滴径、乾燥速度、滞留時間の組み合わせは、装置ごとに違う
- 粒子物性が変わる。同じ処方でも、装置が変われば嵩密度と流動性が動く
- 仕様の書き直しが発生する。開発時の規格が商用機で満たせないことがある
一貫して受託する構成は、この断層を社内に閉じる。スケールダウンモデルを商用機に合わせて作れる、という言い方もできる。噴霧乾燥では滞留時間の分布が製品の性質を左右するため、滞留時間分布(RTD)の考え方が装置間の橋渡しに使われる。
受託先を選ぶときの見方
CDMOを使うか自社でやるかの判断は、バイオ医薬品では設備投資の大きさが軸になる。低分子の噴霧乾燥では、軸がやや違う。
- 同じ装置系列を、開発規模から商用規模まで持っているか
- 商用の実績があるか。規制当局の査察を通った拠点かどうか
- 供給の継続性。同じ設備で他社製品をどれだけ抱えているか
- 品質システム。開発段階と商用段階で、同じ枠組みが通っているか
報道は、原材料の物性評価から商用供給までを通す点を前面に出している。どこまでを1社に預けるかという設計の問題であり、規模と時間軸で答えは変わる。
なお、噴霧乾燥の受託能力の拡張は同社に限らない。Hovione がポルトガル・Loures の錠剤工場を拡張したのも、ASD からの製剤化を一貫で受ける方向の投資である。非晶質固体分散体が、特殊な処方から標準的な選択肢に移りつつあることを示している。
※ 本ページは公開情報(Manufacturing Chemist の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。提供内容・設備・受託条件の詳細は一次情報および同社の公式発表をご確認ください。本文中の解説は噴霧乾燥と非晶質固体分散体一般の構造に関する説明であり、当該サービスの具体的な性能を示すものではありません。