残留溶媒とは?ICH Q3Cのクラス分類(1・2・3)と管理の考え方

残留溶媒とは何か
残留溶媒製造で使った有機溶媒が製品に残っていないか調べる試験です。ガスクロマトグラフィーなどで残存量を測り安全性を確認します。詳しく →(residual solvents)は、原薬原薬。精製を終えた有効成分そのもので、製剤化する前の段階を指す。・添加剤・製剤製剤。原薬を処方・充填して、最終的な投与形態に仕上げた製品。の製造や精製で使った有機溶媒のうち、製品中に残ってしまった分です。溶媒は反応や結晶化溶液中の目的物質を固体の結晶として析出・単離する精製操作で、不純物の除去にも利用される。・精製に欠かせませんが、完全には除ききれず微量が残ることがあります。多くは有効性に寄与せず、種類によっては安全性上の懸念があるため、量を管理します。
残留溶媒は不純物の一種ですが、本体と構造が近い類縁物質(有機不純物医薬品中に含まれる炭素を骨格とする不純物で、合成副生成物・中間体残留物・分解物などが該当する。)や、金属などの元素不純物とは別カテゴリで、専用のガイドライン(ICH Q3C)が扱います。
残留溶媒は「製造で使った溶媒の残り」。有機不純物(類縁物質)・元素不純物とは別枠で、ICH Q3Cが毒性に応じたクラス分けと限度値を定めます。まず「どの種類の不純物か」を切り分けるのが管理の起点です。
ICH Q3Cのクラス分類
ICH Q3C国際調和会議(ICH)が策定した医薬品中の残留溶媒に関するガイドラインで、溶媒を毒性に応じてクラス分けし限度値を規定する。は、溶媒を毒性に応じて3つのクラスに分けます。
| クラス | 位置づけ | 管理の考え方 |
|---|---|---|
| クラス1 | ヒトへの毒性が高く、避けるべき溶媒 | 原則使用を避ける。使う場合は厳しく制限 |
| クラス2 | 毒性があり、使用を限度内に抑える溶媒 | PDE(許容一日曝露量許容一日曝露量。その量まで毎日摂っても生涯健康影響が出ないとされる量。無毒性量から不確実係数で導く。)に基づく限度で管理 |
| クラス3 | 毒性が低い溶媒 | GMP医薬品を一定の品質で安全に造るために守るべき製造・品質管理の基準(適正製造規範)です。詳しく →等で妥当な低い水準なら詳細な根拠は求められにくい |
管理の中心になるのがクラス2のPDE(Permitted Daily Exposure医薬品を通じて一日に摂取しても健康影響がないとされる不純物の上限量。元素不純物などで用いる。:許容一日曝露量)です。溶媒ごとに「1日にこれだけまでなら許容できる」という量が定められ、製品の投与量から逆算して濃度の限度を設定します。「どれだけ体に入るか」を軸に管理する点が、面積百分率クロマトグラムの全ピーク面積の合計に対する各ピーク面積の割合で不純物量を相対的に示す指標で、項目10(ピーク面積百分率)と実質的に同義であり、重複した定義である。で見る類縁物質主に低分子医薬で、目的物質に構造が似た不純物や分解物を分離・定量する分析です。純度や安定性を確認します。詳しく →とは異なる発想です。
どうやって測るか
残留溶媒は揮発性が高いので、ヘッドスペースGC気化させた成分をカラムで分離して検出する分析装置です。製造工程で使った溶媒の残留量を測る残留溶媒分析などに使います。詳しく →(ガスクロマトグラフィー)で測るのが一般的です。試料を加温して気相に追い出した溶媒をGCで分離・定量します。微量を確実に捉えるため、方法の検出限界・定量限界が管理値より十分低いこと、日々のシステム適合性が確保されていることが前提になります。
工程設計とのつながり
残留溶媒は「測って終わり」ではなく、工程設計で残さないことが基本です。低分子原薬の製造では、最終の結晶化・乾燥で溶媒をどこまで抜けるかが残留量を左右します。どの溶媒を使うか(できればクラス3を選ぶ、クラス1は避ける)という選択自体が、後工程の管理負担を決めます。低分子原薬のQCでは、残留溶媒・類縁物質・変異原性不純物などを、それぞれの枠組みで併せて確認します。
まとめ
- 残留溶媒=製造で使った有機溶媒の残り。類縁物質・元素不純物医薬品中に金属など元素の形で残る望ましくない微量成分。触媒残留や重金属が代表。とは別枠で、ICH医薬品規制の国際調和を目的として、日米欧の規制当局と製薬業界が参加する国際的なガイドライン策定機関。 Q3Cが扱う。
- 毒性に応じてクラス1(避ける)・クラス2(PDE許容一日曝露量。その量まで毎日摂っても生涯健康影響が出ないとされる量。無毒性量から不確実係数で導く。で限度管理)・クラス3(低毒性)に分類。
- ヘッドスペースGCで測り、工程(結晶化・乾燥)と溶媒選択で「残さない」設計が基本。