抗体医薬基礎知識・分析

検出限界(LOD)と定量限界(LOQ)とは?違いと求め方をやさしく整理

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検出限界(LOD)と定量限界(LOQ)とは?違いと求め方をやさしく整理

LODとLOQは何が違うのか

どちらも「どこまで小さい量を測れるか」を表す指標ですが、⁠要求水準が違います⁠。

  • 検出限界(LOD:Limit of Detectionその方法で確実に検出できる最小の量。試験法が求める感度を満たすかを評価する指標です。)⁠=そこに目的成分が「⁠あるかないか⁠」を見分けられる最小量。数値の正確さまでは求めない。
  • 定量限界十分な精度で定量できる最小量。分析法の性能を示すバリデーション項目の一つ。LOQ十分な精度で定量できる最小量。分析法の性能を示すバリデーション項目の一つ。:Limit of Quantitation)⁠=その量を「⁠数値として信頼して測れる⁠」最小量。適切な正確さ・精度で定量できる下限。

順序としては LODその方法で確実に検出できる最小の量。試験法が求める感度を満たすかを評価する指標です。<LOQ で、LOQのほうが厳しい(大きい値になる)のが普通です。「検出はできるが、正確な数値までは出せない」領域が、LODとLOQのあいだにあります。

POINT

LODは「見えるか」、LOQは「数えられるか」。不純物が規格値より十分小さく測れるか、微量の目的物を信頼して定量できるか——微量を扱う試験では、この2つが方法の実用性を決めます。

求め方(ICH Q2(R2))

分析法バリデーション試験・分析方法が目的とする測定を正確・精密・再現性よく実施できることを科学的に確認するプロセス。の国際的な枠組みであるICH Q2(R2)は、LOD/LOQの代表的な求め方をいくつか挙げています。

求め方考え方
S/N比測定装置のベースラインノイズに対する目的成分の信号強度の比率で、検出能の指標として用いられる。(シグナル対ノイズ)ベースラインのノイズに対し、信号がおよそ何倍かで判断する
標準偏差と検量線既知濃度の標準から作る定量の基準線。qPCRでサンプル中のDNA量を読み取るのに使う。の傾きから算出低濃度域の応答のばらつきと感度から計算する
視覚評価目視で見分け・定量できる最小量を確かめる

いずれの方法でも、求めたLOD/LOQは実際にその濃度の試料で確かめる(確認する)⁠のが前提です。方法・装置・マトリックスによって値は変わるため、「計算しただけ」で終わらせないのがポイントです。

なぜ重要か:微量を扱う試験での位置づけ

LOD/LOQが効いてくるのは、⁠ごく微量を相手にする試験です。

  • 不純物・類縁物質:規格値(例:報告閾値医薬品の不純物管理において、その量を超えた場合に不純物として報告(記載)が求められる濃度の基準値であり、同定(構造決定)閾値とは区別される。)より十分下までしっかり測れないと、「本当に少ないのか、測れていないだけか」が区別できません。LOQは規格値より低く設定できることが求められます。
  • 残存DNA残存ヌクレアーゼなどの工程由来不純物mRNA製造などで生じる二本鎖RNA(dsRNA)や鋳型DNAなど、製造工程に由来する不純物の残存量を調べる試験です。詳しく →⁠:ppb〜ppm抗体1mgあたりの不純物量(ng)のように、100万分の1の比で微量成分の割合を表す単位。の世界で、LOQが管理値を下回っている必要があります。
  • HCP(宿主細胞タンパク質)のELISA:微量のHCPを定量するため、方法のLOD/LOQと直線範囲分析法において、濃度と応答値の間に直線的な比例関係が成立する濃度域のこと。が実務の成否を左右します。

いずれも共通するのは、「⁠規格値より十分低いところまで、信頼して測れる⁠」ことが前提になる点です。LOQが規格値に近すぎると、合否判定の余裕がなくなります。

直線範囲・システム適合性との関係

LOD/LOQは単独では決まりません。低濃度側の下限がLOQなら、その上に直線的に測れる範囲(range)⁠が続きます。日々の測定でこの性能が出ているかはシステム適合性で確認し、試験室間で方法を移すときは分析法の移管同等性変更前後が完全に同一でなくても、品質・安全性・有効性で高い類似性を保ち差異が悪影響しないと言える状態。を担保します。定量そのものの当てはめ(検量線・曲線)の考え方はIC50と4パラメータロジスティックも参考になります。

まとめ

  • LOD=あるかないか見分けられる最小量、LOQ=信頼して定量できる最小量。LOD<LOQ。
  • ICH Q2(R2)分析法バリデーションのガイドライン。分析手順が妥当性を持つことを確認する枠組みを定める。は、S/N測定装置のベースラインノイズに対する目的成分の信号強度の比率で、検出能の指標として用いられる。比・標準偏差と傾きからの算出・視覚評価などを挙げ、求めた値は実試料で確認する。
  • 不純物・残存DNA製造に使った宿主細胞に由来するDNAの不純物です。安全性の観点から、精製後にどれだけ残っているかを測る試験です。詳しく →HCP医薬品を作る宿主細胞に由来するタンパク質の不純物です。安全性に関わるため、精製後の残存量を測ります。詳しく →など微量試験では、LOQが規格値より十分低いことが前提になる。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、抗体医薬に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。