低分子医薬基礎知識・分析

類縁物質とは?医薬品の不純物としての意味とICH Q3A/Q3Bの考え方

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類縁物質とは?医薬品の不純物としての意味とICH Q3A/Q3Bの考え方

類縁物質とは何か

類縁物質(related substances医薬品原薬や製剤中に含まれる、主成分以外の化学物質や主成分の分解・変換によって生じる物質の総称。/related compounds)は、原薬原薬。精製を終えた有効成分そのもので、製剤化する前の段階を指す。製剤製剤。原薬を処方・充填して、最終的な投与形態に仕上げた製品。に含まれる、⁠目的物と構造がよく似た有機不純物医薬品中に含まれる炭素を骨格とする不純物で、合成副生成物・中間体残留物・分解物などが該当する。の総称です。合成の途中でできる副生成物や中間体ゲノムを途中までしか積んでいないAAVカプシド。空でも実でもない中間的な粒子で、測定時にどちらへ数えるかで比率が動く。の残り、そして保存・製造中に目的物が分解してできる分解物が主な由来です。構造が本体に近いぶん分離・同定が難しく、医薬品の品質規格で必ず管理される項目になります。

不純物にはいくつか種類があり(不純物の種類)、類縁物質主に低分子医薬で、目的物質に構造が似た不純物や分解物を分離・定量する分析です。純度や安定性を確認します。詳しく →は「⁠有機不純物⁠」に当たります。これに対し、製造で使った有機溶媒の残り(残留溶媒)、金属などの元素不純物、そして毒性が特に懸念される変異原性不純物は、それぞれ別の枠組みで管理します。

POINT

類縁物質は「本体とよく似た有機不純物」。残留溶媒・元素不純物・変異原性不純物とは別カテゴリで、拠り所にするガイドラインも異なります。まず「どの種類の不純物か」を切り分けるのが管理の出発点です。

ICH Q3A/Q3Bの考え方:報告・構造決定・安全性確認

原薬中の不純物はICH Q3A、製剤中の分解物はICH Q3B新製剤中の分解物管理に関する国際的な規制ガイドラインで、Q3Aと同様の段階的アクション構造(報告・同定・資格付与の閾値)を持つが、適用対象は原薬ではなく製剤中の分解物に限られる。が扱います。両者に共通する骨格が、不純物の量に応じた3段階のアクションです。

段階何を求めるか
報告(reporting)ある水準を超えた不純物は結果として報告する
構造決定(identification特定の閾値を超えた不純物について、質量分析やNMRなどを用いてその化学構造を明らかにすること。さらに高い水準を超えたら、その不純物の構造を明らかにする
安全性確認(qualification)もっと高い水準を超えたら、その量で安全といえる根拠を示す

これらの閾値は1日投与量に応じて定められており、たくさん飲む薬ほど不純物に厳しくなる、という設計です。個々の数値はガイドライン本文で確認するのが確実ですが、「量が増えるほど、報告→構造決定特定の閾値を超えた不純物について、質量分析やNMRなどを用いてその化学構造を明らかにすること。→安全性確認と対応が重くなる」という段階構造を押さえておくと、規格設定の意図が読めます。

どうやって測るか

類縁物質は、多くの場合逆相HPLC疎水性の差でペプチドやオリゴを分離する液体クロマトグラフィーのこと。で分離し、UV検出のピーク面積百分率クロマトグラムにおける全ピーク面積の合計に対する各ピーク面積の割合で、不純物の相対量を表す際に用いられる。(area%)で相対量を表します。本体ピークの近くに出る分解物や副生成物を、いかに分けて検出できるかが方法の肝で、この「分ける力」を確かめるのが後述の強制分解試験熱・光・酸・塩基・酸化などの過酷条件を意図的に与えて薬物を分解させ、生成した分解物を分析法が適切に検出・分離できるかを確認する試験。です。分析法そのものの妥当性は分析法バリデーションの枠組みで確認し、微量の不純物を確実に捉えるための検出限界・定量限界や、日々のシステム適合性も併せて管理します。

強制分解試験との関係

「分解物をちゃんと見えているか」を確かめるのが強制分解試験です。熱・光・酸・塩基・酸化などで意図的に分解させ、生じた分解物を本体からきれいに分離できる分析法(stability-indicating method原薬や製剤の分解物を本体ピークと明確に分離して定量でき、製品の安定性評価に使用できることが実証された分析法。)であることを示します。ここで確立した方法で、安定性試験を通じて保存中の分解物の増え方を追い、有効期間医薬品が規定の品質を保てると保証される期間。安定性データの経時変化から設定する。中も規格内に収まることを確認します。ペプチド複数のアミノ酸がペプチド結合でつながった中分子化合物で、タンパク質より鎖が短いものを指す。など分子種によっては、ペプチドの不純物プロファイリングのように専用の考え方が要る場合もあります。

まとめ

  • 類縁物質=本体と構造が近い有機不純物(副生成物・分解物)。残留溶媒・元素不純物・変異原性不純物DNAを傷つけうる有機不純物。元素不純物とは別枠で管理される。とは別カテゴリ。
  • ICH Q3A新有効成分を含む原薬中の不純物管理に関する国際的な規制ガイドラインで、報告・同定(構造決定)・資格付与(安全性確認)の各閾値を規定する。(原薬)/Q3B(製剤)は、量に応じて報告→構造決定→安全性確認と対応が重くなる段階構造。閾値は投与量依存。
  • 逆相HPLCのarea%で測り、強制分解試験で「分解物を見分ける力」を担保、安定性試験出荷時から有効期限まで品質特性が規格内にとどまることを確認する試験。で経時変化を追う。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、低分子医薬に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。