処方設計

安定性試験(ICH安定性)

安定性試験は、原薬・製剤を定められた温度・湿度・光の条件下で保存し、品質特性(CQA)の経時変化を測定する試験です。ICH Q1A(R2)(化学品)やQ5C(バイオ医薬品)に従い、長期・加速・苛酷・光安定性の各条件で実施します。得られたデータをもとに、有効期限(リテスト期間)と保存条件を設定します。

ICH Q1A(R2)長期・加速・苛酷有効期限設定CQAの経時変化
分類
処方設計
主な用途
ICH Q1A(R2) / 長期・加速・苛酷 / 有効期限設定 / CQAの経時変化
関連モダリティ
抗体医薬 / 二重特異性抗体 / ADC / Fc融合・組換えタンパク質 / ワクチン / mRNA-LNP / 細胞・遺伝子治療
代表メーカー
ESPEC(エスペック)・Binder・Memmert・Thermo Fisher Scientific ほか計8社
関連キーワード
安定性試験 / ICH Q1A / Q5C / 有効期限 / 凝集体 / SEC

用途・特徴

目的は、製品が表示された保存条件・有効期限の範囲で規格を満たし続けることを保証することにあります。長期保存試験で実保存条件下の挙動を、加速試験でより厳しい条件下の挙動を確認し、両者を合わせて有効期限と保存条件を導きます。長期と加速の中間の挙動を補う中間試験を置く場合もあります。

バイオ医薬品ではQ5Cに沿い、純度・凝集体・電荷不均一性・力価(生物活性)など分子に固有のCQAを安定性指標とします。安定性指標分析法(stability-indicating method)で経時変化を捉えられることが前提で、SEC・IEC・CE・力価試験などを組み合わせます。試験は安定性チャンバーで温湿度を保持し、定められた測定時点で抜き取って分析します。

苛酷試験(強制分解)は規格設定や分析法の評価のために、加速条件を超える温度・湿度や酸・塩基・酸化・光などで意図的に分解させる試験です。長期・加速の正規プロトコルとは区別して扱います。

Point
  • ICH Q1A(R2)(化学品)/Q5C(バイオ医薬品)に準拠
  • 長期 25℃60%RH・加速 40℃75%RH が代表的な条件
  • 純度・凝集体・電荷・力価などCQAの経時変化を測定
  • 安定性指標分析法で変化を捉えられることが前提
  • 光安定性はQ1Bに従って別途実施
  • 苛酷試験(強制分解)は正規プロトコルと区別
  • データから有効期限と保存条件を設定
  • 保存はゾーンや剤形で条件・期間が変わる

使用方法

安定性試験は試験デザインの確定から始まり、定められた測定時点でのCQA測定とデータ解析を経て、有効期限・保存条件の設定につなげます。

1対象ロット・規格・CQAを決める
2試験条件と測定時点を計画する
3安定性指標分析法を確認する
4検体を安定性チャンバーへ仕込む
5温湿度・光の条件を保持する
6規定時点で検体を抜き取る
7純度・凝集・力価などを測定する
8経時データを傾向解析する
9規格適合と外挿を評価する
10有効期限・保存条件を設定する
測定時点や試験条件は剤形・保存ゾーン・開発段階で変わります。長期試験は0・3・6・9・12・18・24ヶ月のように設定し、加速試験は0・3・6ヶ月など短い期間で実施するのが一般的です。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)