FiercePharma の報道によれば、Scholar Rock が、脊髄性筋萎縮症(SMA)候補 apitegromab の FDA 再申請にあたり、受託製造先から Novo Nordisk 傘下の Catalent 施設を外した。同施設は直近の査察で OAI(Official Action Indicated:要措置)に分類されていた。
OAIとは何を意味するか
FDAは査察の結果を3段階で分類する。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| NAI(No Action Indicated) | 指摘なし |
| VAI(Voluntary Action Indicated) | 指摘はあるが、自主的な是正で足りる |
| OAI(Official Action Indicated) | 当局として措置を要する水準の不備がある |
OAIは最も重い分類にあたる。実務上の影響として大きいのは、その施設を製造所として含む申請の審査が進まなくなりうる点である。開発企業にとっては、自社の製品に問題がなくても、委託先の状態で足止めされる。
委託先を「外す」という判断の重さ
申請書に記載した製造所を差し替えるのは、書類の一行を書き換える作業ではない。
- 技術移転をやり直す:技術移転には、工程条件の移管、原材料の切り替え、作業者の訓練が伴う
- 同等性を示す:移転先で作ったものが、臨床で使ったものと同じ品質であることを実証する必要がある
- バリデーションを取り直す:新しい施設でプロセスバリデーションを実施する
- 時間がかかる:これらを積み上げるには、通常は年単位の準備が要る
それでも切り替えを選んだということは、その施設で待つより速いと判断したことを意味する。OAIの解消には、当局が納得する是正と再査察が要り、期間が読めない。
委託する側が備えられること
この事例が示すのは、CDMOに委託するか自社で持つかという判断に、委託先の規制上の状態というリスク項目が含まれるという点である。
備え方はいくつかある。
- 複数の製造所を申請に含めておく——1拠点が止まっても供給が続く。ただし各拠点でバリデーションが要るため費用が増える
- 査察履歴を確認する——FDAの査察分類やWarning Letterは公開情報として追える
- 監査で運用の実体を見る——書類が揃っていることと、その通り動いていることは別
- 切り替えの手順を先に考えておく——起きてから設計を始めると、その分だけ遅れる
委託先の選定では費用と能力が比較されやすい。その拠点が数年後も問題なく稼働している確からしさは、同じ重みで見る価値がある。
※ 本ページは公開情報(FiercePharma の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。再申請の内容・新たな製造所・審査の見通しは一次情報および同社の公式発表をご確認ください。