膜透過性試験(Caco-2)
試験の前後に TEER を測り、単層が保たれたかを確かめます。
- 単層の確認
TEER測定装置は、多孔膜のインサートの上に作った細胞単層の電気抵抗(TEER、transepithelial electrical resistance、経上皮電気抵抗)を測る装置です。
TEER はタイトジャンクション(隣り合う細胞のすき間を閉じる結合)の閉じ具合を反映し、Caco-2 などの膜透過性試験では、単層が試験に使える状態かを試験の前後に確かめるために測ります。
TEER は、インサートの膜を挟んで頂端側と基底側に電極を置き、弱い交流の電流を流して抵抗を測ります。細胞のすき間がタイトジャンクションで閉じるほど、イオンは細胞の間を通りにくくなり、抵抗は上がります。直流ではなく交流を使うのは、電極の分極を避け、細胞への影響を抑えるためです。
測った抵抗から細胞の無い空のインサートの抵抗を引き、膜の面積を掛けた値(Ω·cm²)で比べます。膜面積の違うインサートでは、同じ状態の単層でも抵抗(Ω)が大きく変わるためです。
TEER の絶対値は装置、電極、温度、培養日数で変わります。受け入れ基準は他施設の数値を流用せず、自社の系でルシファーイエロー(細胞の間のすき間だけを通る蛍光色素)などの透過と対応づけて決めます。
基本的には、細胞を播いたインサートと空のインサートを同じ条件で測り、その差に膜面積を掛けて TEER を求めます。
どちらも同じメーターにつないで使いますが、電極の位置の決まり方が違います。表の数値は WPI が公表している例です。
手持ちの電極はその場で手早く測れ、固定電極のチャンバーは電極の位置がそろうぶん、ばらつきを小さくできます。
電極をインサートの内側と外側に差し入れる
インサートをチャンバーに移し、上下の円板電極で挟む
差し込む位置と角度で変わる
毎回同じ
150 Ω
5 Ω 未満
10〜30 Ω
1〜2 Ω
培養中のプレートをその場で測る
抵抗の低い単層を細かく測る
膜に触れないよう深さをそろえる
銀・塩化銀の電極のため、長時間の連続測定には向かない
| タイプ | 内容 | 向く用途 |
|---|---|---|
| 手動のメーター+箸型電極 | メーターに2本の電極をつなぎ、手で差し入れて測る | 少数のインサートの確認 |
| インサート用の固定電極 | 吊り下げ型インサートに掛けて位置を決める電極 | 24ウェル用インサートの日常の確認 |
| HTS プレート用の電極 | 24ウェル・96ウェル一体型プレートの開口部に合わせた電極 | HTS プレートを手で測る |
| 固定電極のチャンバー | インサートを移し、上下の円板電極で挟んで測る | 抵抗の低い単層の測定 |
| 自動測定システム | 電極アレイがプレートを1列ずつ測る | 96ウェル HTS プレートの日常の測定 |
| インピーダンス式の連続測定 | 周波数を変えてインピーダンスを測り、TEER と細胞層の静電容量を求める | 培養中の TEER の変化を時間で追う |
TEER(Ω·cm²)は、(単層の抵抗 − 空のインサートの抵抗)× 膜面積 で求めます。膜面積はインサートの規格表で確かめます。
| インサート | 膜面積 |
|---|---|
| Transwell 24ウェル用(直径6.5 mm) | 0.33 cm² |
| Transwell 12ウェル用(直径12 mm) | 1.12 cm² |
| HTS Transwell-96(1ウェル) | 0.143 cm² |
TEER は、細胞単層のバリアを使う試験で、単層の状態を確かめるために測ります。
試験の前後に TEER を測り、単層が保たれたかを確かめます。
排出トランスポーターを発現させた細胞の単層でも、輸送試験の前に TEER を確かめます。
脳血管内皮細胞などの単層で、バリアができていく過程を TEER で追います。
インサートで作った組織モデルのバリア機能を評価します。
薬物や毒素を加えたあとの TEER の低下から、バリアの障害を調べます。
各工程で広く使われる基準法・装置・試薬は、各モダリティの工程マップで製造の流れに沿って確認できます。
掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)