品質特性・分析

糖鎖分析とは?

糖鎖分析とは、抗体などのタンパク質に付加した糖鎖構造を評価する分析です。糖鎖構造は、薬効や安全性、体内動態に影響を与えるため、バイオ医薬品の品質評価において重要な指標となります。

糖鎖プロファイルを見る理由
糖鎖はADCCなどの活性や血中動態に影響しうる
グリコフォームはロット・工程条件で変動する
プロファイル比較には標識・分離・標準品の管理が要る
分類
品質特性(分析)
主な手法
HILIC(蛍光標識糖鎖) / LC-MS / キャピラリー電気泳動(CE) / エキソグリコシダーゼ逐次消化+HILIC/CE再分析 / インタクト/サブユニット質量分析(グライコフォーム) / グリコペプチドマッピング(部位特異的)
代表的な基準法
PNGase Fで遊離したN型糖鎖を蛍光標識し、HILIC-UPLC-FLR(必要に応じてオンラインMS)でプロファイルする手法
主な管理パラメータ
PNGase F遊離条件:酵素量・変性/還元の有無・温度(37℃)・時間(迅速法は数分〜、従来法は数時間〜一晩)。IgGでは糖型により遊離速度が異なるため完全遊離の確認が必要 / 蛍光標識:標識試薬(RapiFluor-MS/InstantPC/2-AB/APTS)・反応温度・時間・標識効率(未標識ピークの有無) / HILIC移動相:アセトニトリル/アンモニウムホルメート系のグラジエント、カラム温度、流速、注入溶媒の有機溶媒比(試料溶媒の極性が低いと前方ピークが乱れる) / CE-LIF:HR-NCHOゲル組成、印加電圧、キャピラリー温度、注入条件、内部GU標準による移動度正規化 / GU値変換:デキストラン/グルコースラダー(ブラケッティング標準)による保持/移動度→GU値の校正と各ピークの帰属 / システム適合性:主要ピーク(G0F/G1F/G2F等)の分離度・理論段数・保持/移動時間再現性、標識・遊離ロット間の再現性
関連分析
力価への影響(ADCC活性) / 電荷異性体との組合せ / 純度評価との併用 / 電荷異性体 / 純度

手法の比較 ― どの方法で測るか

手法原理何が分かる使い分け
HILIC(蛍光標識糖鎖)糖鎖を遊離・蛍光標識し親水性相互作用で分離主要グリカン(G0F/G1F/G2F等)の相対%定量・ロット比較の主力
LC-MS質量で糖鎖の構造を同定構造の確定・新規/微量グリカン同定・特性解析・原因究明
キャピラリー電気泳動(CE)標識糖鎖を電気泳動で分離相対%(高スループット)多検体の定量
エキソグリコシダーゼ逐次消化+HILIC/CE再分析特定の糖残基(シアル酸/ガラクトース/フコース等)を酵素で逐次除去し、ピークの消失/シフトから構造を確定各ピークの糖鎖構造(直鎖/分岐・末端残基)の帰属確認HILIC・CEの保持/移動度のみでは曖昧な帰属を、機能的に確定する別の方法での確認として現場標準
インタクト/サブユニット質量分析(グライコフォーム)還元/非還元のインタクトまたはサブユニットを高分解能MSで測定し、主要グライコフォームの質量分布を取得主要糖型の相対存在比・全体的なグリコフォーム不均一性の俯瞰遊離糖鎖法を補完し、糖鎖が抗体全体の質量分布に与える影響を一括把握。比較性評価で有用
グリコペプチドマッピング(部位特異的)トリプシン等で消化し、糖鎖付加ペプチドをLC-MS/MSで解析糖鎖付加部位・サイト占有率・部位ごとの糖型分布遊離糖鎖法では失われる「どの部位にどの糖鎖が付くか」をICH Q6Bが求める占有率情報として補う
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