品質特性・分析

mRNAのキャッピング率・ポリA長とは?

5'キャップと3'ポリAテールは、mRNAが効率よく翻訳され分解されにくくなるための必須構造です。キャップ付加率とポリA長は、mRNA医薬の効力・安定性に直結する品質特性として測定・管理します。

キャップ・ポリAを見る理由
キャップ率が翻訳効率と自然免疫回避に影響
ポリA長が安定性・翻訳に影響
共転写/酵素法で付加率が変わる
分類
品質特性(分析)
主な手法
LC-MS(キャップ) / キャピラリー電気泳動(ポリA) / ポリA:IP-RP-HPLC(イオンペア逆相)による長さ不均一性解析 / ポリA:ナノポア・ダイレクトRNAシーケンス / キャップ+ポリA同時評価:DNAザイム一段法
代表的な基準法
5'キャップ:RNase Hプローブ+LC-HRMS(インタクト質量)/3'ポリA:RNase T1消化+oligo(dT)精製後のキャピラリーゲル電気泳動(CGE-UV)
主な管理パラメータ
キャップ付加率(%):(キャップ体ピーク面積)/(キャップ体+未キャップ5'三リン酸体)。Beverly法では0.5〜25%の未キャップを直線的に検出可 / キャップ種・方向:Cap0/Cap1(m7Gppp+2'-O-メチル)/逆位キャップ(GpppGm等)の弁別。MSデコンボリューション後の相対存在比 / ポリA平均長・分布:単離ポリA断片のCGEピーク群のメインピーク(apex)と長さ分布(例 9〜156ntで1塩基分解能) / ポリA定量パラメータ:補正ピーク面積%(CPA%)、移動時間。RNase T1消化効率とoligo(dT)回収率 / LC-HRMS条件:DNAPac RP 70℃・0.3mL/min、HFIP/DIEA、フルスキャン分解能70,000@m/z200、RNA入力量(5pmol程度で良質データ) / CGE条件:UV254nm、ssDNA 100-Rゲル(7M尿素)、サイズ較正ラダー、注入再現性(CV)
関連分析
mRNA完全性との併用 / LNP特性解析 / 純度との関係 / mRNA完全性 / 純度

手法の比較 ― どの方法で測るか

手法原理何が分かる使い分け
LC-MS(キャップ)酵素消化後に5'末端を質量分析キャップ付加率・キャップ構造キャップ率の精密測定
キャピラリー電気泳動(ポリA)サイズでポリA長を評価ポリA長・分布ポリA長の評価
ポリA:IP-RP-HPLC(イオンペア逆相)による長さ不均一性解析RNase T1でポリA断片を遊離させ、HFIP/TEAA系イオンペア移動相の逆相LCでアデノシンオリゴをn/n-1分解能(約150ntまで)で分離し、UVで長さ分布を定量ポリA平均長・長さ分布・3'末端修飾の不均一性CGEより装置親和性が高くMS連結も可能。長さ不均一性の高分解能プロファイルが必要な開発・規格設定時に有用(PMID 37696042)
ポリA:ナノポア・ダイレクトRNAシーケンス無傷mRNAを逆転写なしで直接シーケンスし、ポリA通過時間からポリA長を1分子単位で推定。truncated RNAを除外して測定単一分子レベルのポリA長分布・末端ヘテロ性(truncation検出)集団平均ではなく分布の裾・truncationを評価する別の方法での確認に適する。スループット・絶対長精度はCGE/LCに劣るため補完用途(PMID 37243600)
キャップ+ポリA同時評価:DNAザイム一段法配列特異的DNAザイムでmRNAを切断し、5'キャップ含有断片と3'ポリA断片を同時に切り出してCE/LC-MSで解析キャップ付加率とポリA長を一試料・一工程で同時取得複数CQAを単一前処理で取得でき工数削減。新しい手法のため、確立基準法(LC-MS/CGE)と相関検証のうえ導入するのが妥当
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