用語集

アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)」とは?

別名・英語表記:AAV

遺伝子治療で遺伝子を運ぶウイルスベクター。血清型によって集まりやすい組織が異なる。

遺伝子治療において目的遺伝子を細胞へ届ける役割を担うウイルスベクターです。血清型ごとにカプシドの構造が異なり、集まりやすい組織が変わる一方で、同じ出自ゆえに既存免疫に捕捉されやすく、再投与が難しいという制約も抱えています。

利点と弱点は同じ出自の表と裏

AAVベクターは野生型AAVを改変してつくられるため、遺伝子を効率よく細胞へ運べるという利点と、既存免疫に捕捉されうるという弱点を、もともとセットで持ちます。さらに各血清型はカプシドの一次配列に一定の相同性を共有しており、あるカプシドに対して生じた抗体が、配列の近い別のカプシドも中和してしまう交差反応がしばしば起こります。この性質が、AAV遺伝子治療における「一度きりの投与」という制約の中核となっています。

製造設計で問われる三つの難所

AAV製造では、トランスフェクションに使うプラスミドDNAをどこから・どのグレードで調達するかという問題に必ず突き当たります。また、残留DNAを量とサイズという二つの軸で管理し、ヌクレアーゼ処理やクロマトグラフィーで除去する工程設計も求められます。さらに臨床フェーズが上がるにつれ、そのプラットフォームで本当に必要量を確保できるのかという問いが重くなり、スケールアップへの対応も設計段階から考慮が必要です。

「力価」が一つでないことの意味

AAVの力価はゲノム力価・感染力価・発現ベースのpotencyという性質の異なる指標を含みます。感染力価は、許容性の高い細胞株に検体を段階希釈して感染させ、ヘルパー機能を共存させてゲノムの複製を促したうえで、TCID50の考え方で算出します。総ゲノム力価と感染力価の比(vg/IU)は、ベクターが「存在すること」と「実際に感染できること」のギャップを示す指標であり、製品の品質を多角的に捉えるために複数の軸を組み合わせることが求められます。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)」が登場する解説記事

関連用語