「抗体薬物複合体」とは?
別名・英語表記:ADC / 抗体薬物複合体(ADC)
標的を選ぶ抗体に、細胞傷害性の薬物(ペイロード)をリンカーでつないだ分子。
別名・英語表記:ADC / 抗体薬物複合体(ADC)
標的を選ぶ抗体に、細胞傷害性の薬物(ペイロード)をリンカーでつないだ分子。
抗体薬物複合体(ADC)は、抗体にリンカーを介して細胞傷害性のペイロードを結合させた「抗体+リンカー+ペイロード」三要素からなる医薬です。標的への選択的な薬物送達を狙う構造ゆえに、体内での挙動は抗体単独とは大きく異なり、PKや品質の評価が複雑になります。
ADCが効力を発揮するには、まず抗体が標的に結合し、次に細胞内へ取り込まれ(内在化)、そこでペイロードが放出されて細胞死を引き起こすという一連のプロセスが必要です。この流れを追ううえで顕微鏡による評価が有効とされており、単に血中濃度を測るだけでは捉えられない挙動を確認する必要があります。抗体部分としての特性と低分子ペイロードとしての特性を同時に持つため、評価の設計自体がADC固有の課題になります。
ADCを投与したあと血中濃度を測っても、抗体は残っているのにペイロードがほとんど外れていた、というケースがあります。これは脱抱合(デコンジュゲーション)と呼ばれる現象で、血中でリンカーが切れたり薬物が抗体から外れたりしてADCが少しずつペイロードを失っていくものです。そのためADCのPKは、総抗体・結合抗体(ADC)・遊離ペイロードという複数の分析対象を別々に追う必要があり、「何を測るのか」という分析対象の設計そのものが出発点になります。
ADCにおける薬物対抗体比(DAR)は、一本の抗体にペイロードがいくつ付いているかを表す指標です。脱抱合によってDARは時間とともに変化するため、投与時のDARだけでADCの体内曝露を語ることはできません。DARを時間の関数として動態を把握することが、ADCの品質と薬効を正しく評価するうえで重要になります。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。