「薬物動態」とは?
別名・英語表記:PK / 薬物動態(PK)
投与した薬が体内で吸収・分布・代謝・排泄されていく挙動。ADCではDARが大きく影響する。
別名・英語表記:PK / 薬物動態(PK)
投与した薬が体内で吸収・分布・代謝・排泄されていく挙動。ADCではDARが大きく影響する。
薬物動態(PK)とは、投与した薬が体内で吸収・分布・代謝・排泄されていく挙動のことです。単なる「薬の動き」の記述にとどまらず、有効性や安全性の設計そのものに直結するため、分子改変の方向性を決める起点として製造・開発の上流から意識する必要があります。
薬物動態はしばしば「後から測るもの」と捉えられますが、実際には狙うPKが先にあり、それを実現する分子改変を逆算するという論理で分子設計が進みます。インスリンを例にとると、自己会合の強さや等電点のずらし方、脂肪酸修飾によるアルブミン結合の導入といった改変が、それぞれ速効型・持効型・超持効型という異なるPKプロファイルに対応しています。つまりPKの目標値が決まらなければ、どの分子改変を選ぶかも決まらないという関係にあります。
抗体医薬品では、糖鎖のシアル化の程度が薬物動態に影響するCQAのひとつとして挙げられます。糖鎖がヒト型でない発現系を使う場合、シアル化を介したPKの作り込みを設計手段として使えなくなる点に注意が必要です。ADCではDAR(薬物抗体比)が大きく影響し、搭載数が異なる分子種が混在すれば薬物動態のばらつきの原因となり、ロット間の同等性評価を難しくします。逆に搭載数が揃うほどPKの予測可能性が高まります。
除去の仕組みが飽和すると、クリアランスが用量によって変わり、用量を増やしてもAUCが比例して増えない非線形薬物動態になります。また、AUCやCmaxは薬物動態の記述にとどまらず、規制上の判断基準としても機能します。さらに、培養細胞できれいに効いても、生体では薬物動態や代償経路、組織環境が絡み、同じようには動かないことがしばしばあります。この「in vivoでのずれ」を事前に評価する手段として、肝チップなどのオルガノイド技術がPK予測の用途で注目されています。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。