「疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)」とは?
別名・英語表記:疎水性相互作用 / 疎水性相互作用クロマトグラフィー
高塩条件で疎水性の違いを利用して結合・分離する方式。凝集体や疎水性の高い変性体を分ける。
別名・英語表記:疎水性相互作用 / 疎水性相互作用クロマトグラフィー
高塩条件で疎水性の違いを利用して結合・分離する方式。凝集体や疎水性の高い変性体を分ける。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、分子表面の疎水性の強さを利用して結合・分離するクロマトグラフィーです。凝集体や変性体は表面の疎水的な領域が露出しやすく、抗体精製のポリッシング工程で「落とし切れない不純物を除く切り札」として位置づけられています。
タンパク質の表面には疎水的な領域があり、カラムの固定相との間で「水を嫌って寄り合う」疎水性相互作用が吸着の原動力になります。この相互作用はエントロピー駆動であるため、温度が上がると吸着が強まる方向に働くという特徴も持ちます。また、塩の種類によって相互作用の強弱が変わり、水を強く構造化して疎水性相互作用を促すコスモトロピックなイオンと、逆に相互作用を弱めるカオトロピックなイオンに分かれ、その序列はHofmeister系列として知られています。
HICが分離の対象とする主な不純物は、凝集体、変性・一本鎖DNA、エンドトキシン、OC体(開環型プラスミド)などです。エンドトキシンは負に帯電しているため陰イオン交換(AEX)だけでは分けきれず、HICを組み合わせることで疎水性の差を利用した分離が可能になります。工程上の位置づけとしては中間精製からポリッシングの段階で用いられることが多く、抗体精製では凝集体を落とす工程として特に重視されます。また、インスリン精製でも、イオン交換や逆相分取を軸としながらHICを挟む構成がとられる例があります。
HICと逆相クロマトグラフィーはどちらも疎水性を分離原理とするため混同されやすい用語です。ただし、リン酸ジエステル骨格のように生理的条件で負に帯電した分子は、疎水性相互作用を分離原理とする逆相カラムにはほとんど保持されないという挙動の違いがあります。また、処方pHがタンパク質の等電点(pI)に近づくと電荷による反発が最小になり、疎水性相互作用が相対的に強く出て会合が進みやすくなるため、製剤設計の観点からもHICによる疎水性評価は重要な位置を占めます。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。