用語集

MABEL」とは?

別名・英語表記:Minimal Anticipated Biological Effect Level / 最小予測生物学的作用量

薬の作用がごくわずかに出始めると見込む用量で、抗体など高リスク薬の初回量設計に使う。

MABELとは、薬理作用が立ち上がる手前に初回投与量を置くための基準値で、「はたらきが始まる量」を出発点にします。2006年にイギリスで起きたTGN1412の重大事故をきっかけに広く語られるようになった考え方で、従来のものさしが通用しにくい抗体医薬などの初回量設計で特に重要になります。

なぜ抗体医薬で別の考え方が要るのか

低分子医薬品では動物試験から初回投与量を導く従来の手順が機能しやすいですが、抗体医薬ではその前提が崩れることがあります。TGN1412の事例では、健康な志願者へのごく少量の投与だけで激しいサイトカイン放出が起き、その危険が世界に知られました。動物試験では種差により同じ反応を予測しにくく、従来と同じものさしをそのまま当てはめられない場面があるため、薬理作用が立ち上がる手前に初回量を置くMABELという別の考え方が打ち出されました。

見積もりに使うデータの種類

MABELの見積もりは、受容体占有率、結合親和性、ヒト細胞での効力といった薬理データを総合して行います。サイトカイン放出アッセイはそのデータの一つとして位置づけられており、動物試験を補う役割を担います。ただし、この評価は臨床での発生率をそのまま予測するものではなく、あくまで初回投与量の設計を支える根拠の一部として機能します。

MABELが常に最も低い値になるとは限らない

MABELは高リスク薬の初回量設計に使われる考え方ですが、すべての状況で最も低い値を与えるわけではありません。標的がよく分かっていて反応が穏やかな抗体では、必ずしもMABELが最も低い値になるとは限りません。また、低分子であっても標的や効き方によっては薬理側から下限を見積もる考えを併せて使うことがあり、どの手法をどう組み合わせるかは薬の性質に依存します。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

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