「反復投与毒性試験」とは?
薬を繰り返し与え、どの臓器がどの量から傷むか、回復するかを調べる中核の毒性試験。
薬を繰り返し与え、どの臓器がどの量から傷むか、回復するかを調べる中核の毒性試験。
反復投与毒性試験は、薬を数週間から数か月にわたって繰り返し与え、どの臓器がどの量から傷むかを病理所見まで含めて明らかにする、非臨床安全性評価の中核となる試験です。単に異常の有無を確認するだけでなく、毒性が出なかった最高用量(NOAEL)を特定し、臨床用量設定の根拠を提供する点で、開発全体に直結する重要な位置を占めています。
反復投与毒性試験が「くり返し与えたときにどの臓器がどの量から傷むか」を病理まで含めて描く試験であるのに対し、安全性薬理が見るのは「その臓器が構造的に傷む前に、はたらき(機能)が急に乱れないか」という点です。つまり反復投与毒性試験は臓器の構造的なダメージとその回復性を捉えることを主眼とするため、機能の急変を前もって捉えるようには設計されていません。両者は目的が異なる補完関係にあり、一方の結果だけで安全性を語ることはできません。
反復投与毒性試験はその設計の柔軟性から、複数の評価を一つの試験に統合する枠組みとしても活用されます。たとえば分子量の大きい薬では、心電図や呼吸・行動の観察をこの試験の中に組み込んで評価する設計がとられることがあります。また、局所忍容性の評価を独立した試験として組むのではなく、反復投与毒性試験の中に組み込んで評価してよいとする考え方もあります。このように、単独の毒性評価にとどまらず、試験全体の効率化にも寄与する試験として位置づけられています。
反復投与毒性試験は免疫毒性評価の入口としても機能します。白血球数、グロブリン、リンパ系臓器の重量や病理所見から懸念サインを拾うことが最初のステップであり、そのサインが単独で白黒つくわけではありません。薬の性質や患者集団なども加味した証拠の重み(weight of evidence)によって追加の免疫機能試験が必要かどうかを判断し、必要と判断された場合にはじめてTDAR(T細胞依存性抗体応答)などの機能試験に進む、という段階的な流れが全体像となっています。肝酵素や腎機能に問題がなかったからといって安心できない領域が、この免疫系の評価に潜んでいる点には注意が必要です。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。