用語集

RNAポリメラーゼ」とは?

別名・英語表記:RNA polymerase / RNAP

DNA鋳型を読み取り、対応するRNA鎖を合成する酵素。

DNA鋳型を読み取ってRNA鎖を合成する酵素で、mRNA医薬の製造では「T7 RNAポリメラーゼ」と呼ばれるバクテリオファージ由来の型が中心的な役割を担います。その量・活性が最終的なmRNAの収率を直接左右するため、製造工程の設計や品質管理において特に注目される要素のひとつです。

T7 RNAポリメラーゼの特徴と動き方

mRNA医薬の製造現場で用いられるT7 RNAポリメラーゼは、単一サブユニットからなるDNA依存性RNAポリメラーゼです。T7プロモーターと呼ばれる特定の配列を特異的に認識し、その下流を5'→3'方向へ転写していきます。転写反応(IVT)では、この酵素が基質である4種のNTP(ATP・GTP・CTP・UTP)を順につなげてRNA鎖を伸長していきます。なお、鋳型が環状のままだとポリメラーゼがプラスミドを何周も回り続けて狙った位置で止まらないため、あらかじめ制限酵素で1か所切って直鎖化した鋳型を使うのが標準的なやり方です。

収率を決める要因と副生成物の問題

IVT反応の収率は、T7 RNAポリメラーゼの量と活性だけでなく、4種のNTPの総量、補因子であるMg2+、鋳型DNAの質、反応温度と時間が互いに影響し合いながら決まります。一方で、T7 RNAポリメラーゼは構造的に副生成物を生み出してしまうことも知られています。反応後の液には、狙ったmRNAのほかに、未反応のNTP、転写が途中で止まったアボーティブ転写物や短鎖RNA、鋳型として使ったプラスミドDNA、そして転写を担ったT7 RNAポリメラーゼ自身も不純物として混在しており、後工程の精製でこれらを取り除く必要があります。

キャップ付与との関わり

mRNA医薬の品質に直結する5'キャップ構造の付与においても、RNAポリメラーゼは重要な役割を果たします。ひとつのアプローチでは、IVTの最中にRNAポリメラーゼが転写を伸長していく転写開始点にキャップアナログが取り込まれることでキャップ構造が5'末端に組み込まれます。また別のアプローチであるCleanCapでは、キャップの付与を担うのはRNAポリメラーゼそのものとされており、転写反応とキャップ形成が一体で進む設計になっています。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

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