Manufacturing Chemist に、MedPharm が製薬・バイオ企業と組み、外用(topical)および経上皮(transepithelial)製剤の開発・リスク低減・商用化を進める体制を紹介する記事が掲載された。処方設計から製品化までを一続きで扱うという位置づけである。
抗体や核酸の話題が多い中で目立ちにくい領域だが、評価の難しさという点では独特の課題を抱えている。
「効いているか」を測る場所が違う
経口剤や注射剤であれば、血中濃度を測ることで体内に入った量を追える。薬物動態の枠組みがそのまま使える。
外用剤ではこれが成り立ちにくい。
- 薬が働くのは皮膚や粘膜の局所であり、血中に出ることを目的としていない
- 血中濃度を測っても、患部にどれだけ届いたかは分からない
- むしろ血中に多く出れば、全身性の副作用として問題になりうる
つまり目的の場所での濃度を、直接は測れない。この構造が、外用剤の開発を難しくしている中心にある。
代替として使われるのが、
- in vitro 放出試験(IVRT):処方から薬物がどれだけ放出されるか
- in vitro 透過試験(IVPT):摘出した皮膚を用いて、どれだけ透過するか
- テープストリッピング:角層を剥がして薬物量を測る
といった手法である。いずれも間接的な指標であり、臨床効果との関係をどう説明するかが常に論点になる。
「経上皮」という広がり
経上皮(transepithelial)という言葉が併記されているのは、対象が皮膚に限らないためである。口腔、鼻腔、眼、膣、直腸——上皮を介して薬を届ける経路は複数ある。
これらは皮膚とも互いとも条件が違う。
- 粘液の存在:粘膜では粘液層が拡散の障壁になり、また薬物を洗い流す
- 滞留時間:塗った場所に留まるか、流れてしまうか。粘膜付着性の設計が要る
- 透過性:角層のある皮膚と、粘膜では桁が違う
- 刺激性:粘膜は皮膚より鋭敏で、添加剤の選択肢が狭まる
このため、同じ有効成分でも経路ごとに処方を作り直すことになる。開発の初期に評価系を組み立てられるかどうかが、その後の速度を左右する。
前倒しでリスクを潰す、という考え方
記事が「de-risk(リスク低減)」を掲げているのは、この領域の失敗の仕方に理由がある。
外用剤の開発では、臨床に入ってから処方の問題が判明することが起こりうる。効果が出ない理由が、薬物そのものではなく基剤の設計にある——という事態である。
これを避けるには、初期の段階で次を押さえておく必要がある。
- 放出と透過の関係:基剤の組成を振ったとき、透過量がどう動くか
- 安定性:半固形製剤は相分離や結晶成長が起きうる。加速条件だけでは見えないことがある
- 製造の再現性:乳化やゲル化の条件が、スケールで変わる
- 容器との相互作用:チューブやポンプ容器への吸着、溶出物
3番目は工業化で効いてくる。半固形製剤の物性は、混合の剪断履歴と温度履歴に強く依存する。ラボの撹拌子で作った処方が、製造機で同じ物性にならない——という事態は珍しくない。技術移転の段階で処方に手戻りが出れば、開発計画が大きく動く。
受託先に何を求めるか
この領域を外部に委託する場合、確認したいのは設備よりも評価系を持っているかである。
- IVRT/IVPTの実施経験と、その手法をどう妥当性確認しているか
- ヒト皮膚・粘膜モデルの調達と管理
- 半固形製剤のスケールアップ設備
- 規制当局への説明の実績
CDMOに委託するか自社で持つかという判断の軸は、抗体医薬でもこの領域でも変わらない。違うのは、評価法そのものが確立しきっていないぶん、受託先の知見への依存度が高くなる点にある。
※ 本ページは公開情報(Manufacturing Chemist の記事)をもとにしたProglenth編集部による整理です。提供範囲・設備・対象製剤の詳細は一次情報および同社の公式発表をご確認ください。