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並列培養装置

並列培養装置は、複数の培養条件や複数の候補クローンを、同時に小スケールで培養・比較するための装置です。培地、フィード、接種密度、pH、DO、温度などを変えながら、増殖性、産生量、代謝状態を比較できます。抗体医薬のCHO細胞株開発では、候補クローンの絞り込みや培地・フィード条件検討、スケールダウンモデルの構築などに使われます。

多条件比較高スループットクローン選抜DoE

用途・特徴

並列培養装置は、複数条件を同じタイミングで比較できる点が特徴です。

抗体医薬の細胞株開発では、候補クローン、培地、フィード条件を多数比較し、高産生で増殖性の良い条件を見つけるために使われます。小容量のマイクロバイオリアクターや、複数ベッセルを持つ多連小型バイオリアクター、マイクロプレート型などがあります。

Point
  • 培地・フィード条件、pH、DO、温度などの検討に使われる
  • シェイクフラスコよりデータ取得や条件比較をしやすい
  • 本培養に近い制御条件でスクリーニングできる装置もある
  • 高スループット化により、開発初期の候補絞り込みを効率化できる
  • CHO細胞向けと微生物・発酵寄りの装置は分けて考える必要がある

使用方法

基本的には、複数の培養容器やマイクロバイオリアクターに、候補クローンや条件を割り付けて同時に培養します。

1候補クローン・条件を決める
2培養条件を設計する
3各ベッセルに培地を準備する
4細胞数・生存率を確認する
5各条件に細胞を接種する
6pH・DO・温度等を設定する
7並行して培養する
8産生量・代謝物を測定する
9条件間で比較し次段階を選ぶ
培地・フィード検討やDoEにも向いています。実際の条件は、ベッセル数、培養容量、制御できる項目、シングルユース容器の有無、自動サンプリング、液体ハンドリング、データ解析、GMP対応の有無によって変わります。

シェイクフラスコ・小型バイオリアクターとの違いは?

並列培養装置は、シェイクフラスコと小型バイオリアクターの中間または発展形として使われることがあります。

主な目的

候補を簡便に拡大する

制御条件下で候補を評価する

複数候補・複数条件を同時に比較する

スループット

低〜中

制御性

低〜中

中〜高

主な制御項目

温度、CO2、振とう

pH、DO、温度、撹拌、ガス、フィード

装置によりpH、DO、温度、フィードなどを並列制御

得られるデータ

オフライン測定中心

オンライン制御・記録が可能

条件間比較、トレンド、スクリーニングデータ

向く場面

初期拡大、簡便な比較

本培養に近い条件評価

クローン選抜、培地・フィード検討、DoE

注意点

制御性に限界がある

台数や容量に制限がある

消耗品、液体ハンドリング、解析設計が重要

並列培養装置は「多数の候補や条件を、できるだけ同じ環境で比較するための装置」と考えるとわかりやすくなります。

装置タイプの違い

並列培養装置には、マイクロバイオリアクター型、多連小型バイオリアクター型、マイクロプレート型、外部サービス型などがあります。

マイクロバイオリアクター・高スループット並列培養

小容量の培養容器を多数並べて、候補クローンや培養条件を高スループットに比較する

CHOクローン選抜、培地・フィード検討、初期プロセス開発

多連小型バイオリアクター

複数の小型ジャーやベッセルを並列制御し、pH、DO、撹拌、フィードを個別に制御する

本培養に近い条件での多条件比較、DoE、培養条件最適化

マイクロプレート・小容量スクリーニング

マイクロプレートやディープウェル形式で、多数条件を小容量で評価する

微生物培養、発酵条件検討、初期スクリーニング

小型ガラス・撹拌槽型の並列運用

複数の小型撹拌槽型バイオリアクターを並べて運用する

プロセス開発、スケールダウンモデル、詳細条件検討

外部並列培養サービス

外部のバイオリアクター設備をクラウド型・受託型で使い条件検討を行う

自社に設備がない場合のプロセス開発、条件探索

使用される工程

並列培養装置は、候補クローンの比較や培養条件検討で使われます。

細胞株開発・クローン選抜

多数の候補クローンを並行して培養し、増殖性や産生量を比較します。

主な用途
  • 候補並行培養
  • 増殖性比較
  • 産生量比較

候補クローンの拡大培養

小容量で候補クローンを拡大し、次段階へ進める候補を選びます。

主な用途
  • 小容量拡大
  • 候補選抜
  • 次段階判断

産生量スクリーニング

抗体産生量、細胞密度、生存率、代謝物を比較します。

主な用途
  • 産生量比較
  • 細胞密度
  • 代謝物比較

培地・フィード検討

培地組成、フィード条件、添加タイミングを比較します。

主な用途
  • 培地組成
  • フィード条件
  • 添加タイミング

プロセス開発

pH、DO、温度、撹拌、フィードなどの条件検討に使われます。

主な用途
  • pH/DO検討
  • 撹拌条件
  • フィード検討

シードトレイン検討

接種密度や培養立ち上がり条件の比較に使われます。

主な用途
  • 接種密度
  • 立ち上がり条件
  • 比較

本培養条件検討

スケールアップ前に、小スケールで培養プロファイルを確認します。

主な用途
  • プロファイル確認
  • スケールアップ前検討
  • 条件最適化

DoE

複数因子を組み合わせた実験計画法による条件探索に使われます。

主な用途
  • 実験計画法
  • 多因子探索
  • 条件最適化

ウイルスベクター製造

トランスフェクション条件、感染条件、培養条件の比較に使われます。

主な用途
  • 導入条件
  • 感染条件
  • 培養条件比較

使用されるモダリティー

並列培養装置は、多条件比較が必要な細胞培養系で使われます。

抗体医薬
関連度
CHOクローン選抜培地・フィード検討
候補クローンや条件を並列で比較する。
二重特異性抗体
関連度
CHO細胞株プロセス開発
産生細胞と培養条件の比較に使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
CHOHEK293などの産生細胞
タンパク質産生条件の最適化に使われる。
ウイルスベクター
関連度
HEK293Sf9昆虫細胞など
導入条件、培養条件、感染条件の比較に使われる。
ワクチン
関連度中〜高
細胞基材ウイルス増殖条件
細胞培養条件やウイルス増殖条件の検討に使われる。
細胞治療・再生医療
関連度
細胞拡大条件培地条件添加因子検討
細胞種によっては剪断や分化状態に注意が必要。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度
培地・分化条件拡大培養条件
専用容器や低剪断条件との相性確認が必要。
エクソソーム・細胞外小胞
関連度
産生細胞培地条件培養条件検討
産生細胞の条件検討で使われる場合がある。
mRNA医薬・LNP
関連度低〜中
細胞由来原料評価細胞酵素製造関連
mRNA合成本体では中心的ではない。
低分子医薬品
関連度
発酵細胞アッセイ条件検討
微生物培養や細胞評価系で使われる場合がある。

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