分析・計測
2026.10.09•Rapid Micro Biosystems•約6分

Growth Direct(Rapid Micro Biosystems)――菌を数える日数を縮める

Photo: Adrien Olichon / Unsplash

Growth Direct System は、米 Rapid Micro Biosystems が手がける微生物検査の自動化装置です。製造現場の空気や表面から採った菌、工程液のバイオバーデン(ろ過する前の液などに含まれる菌の数)、製造用水の菌を、従来と同じく培地で育てながら、目に見える大きさのコロニーになる前に数えます。培地の入ったカセットを入れれば、培養、撮影、計数、廃棄までを装置が自動で進めます。同社は、最終結果を出せる最短の時点を試験に応じて24〜48時間としており、数日培養してから数える従来の目視法より早く判定できます。

この装置の勘所は、新しい原理で菌を見つけることではなく、⁠従来法と同じく培地で育った生きた菌を数えたまま、数えるタイミングだけを前に倒すところにあります。

育ち始めのコロニーを光で数える原理

菌の細胞は、青い光を受けるとわずかに光る成分を持っています。

装置は培養中のカセットに青色光を当て、この自家蛍光を拡大なしのカメラで繰り返し撮影し、育っていく光の点を数えます。PLoS ONE に載った論文によれば、目視で大腸菌のコロニーを数えられるのは、細胞がおよそ500万個に増えたころです。この方式では、約120個の段階で見つけられたと報告しています。試薬を足さず菌を壊さないので、見つけたコロニーをそのまま菌種の同定に回せます。ATP の発光で生菌を測る方法と違い、結果は従来と同じ CFU(コロニー形成単位)で出ます。無菌試験と迅速微生物試験(RMM)の中でも、既存の手順や基準値との対応を説明しやすい方式です。⁠数える対象が従来法と同じ CFU なので、これまでの基準値やトレンドと並べて比べやすい装置です。

環境モニタリングと水の試験での出番

本数の多い定常の試験ほど、自動化の効果が大きく出ます。

無菌製造の現場では、空気・表面・作業者の手袋などから毎日たくさんのサンプルを採り、数日培養してから数えます。環境モニタリングで菌が出たとき、結果が遅いほど、その間に製造したロットまで調査の範囲が広がります。同社の公表値では、結果が出るまでの時間は環境モニタリングで32時間、バイオバーデンで24時間、水で48時間です。いずれもバリデーションで確定させる値とされ、無菌試験にも対応します。1台でカセットを最大660個抱え、1日に最大220個を処理できます。2基のインキュベーターは、2つの温度で使い分けるか、同じ温度で容量を倍にするかを選べます。温度を変えて細菌と真菌を拾う環境モニタリングの運用に合わせやすい設計です。⁠1日に数百枚の培地を扱う現場ほど、時間の短縮に加えて、人が数えて記録する手間と転記の誤りが減る点が効いてきます。

公表スペックと導入実績の読みどころ

数字は Rapid Micro Biosystems の公表値で、自社の検体と菌株で取り直す前提で読みます。

同社はコロニー単位の誤判定率として、偽陽性0.5%未満、偽陰性0.1%以下を挙げています。データは 21 CFR Part 11 に対応し、LIMS(検査情報管理システム)へつなげます。本体は空の状態で1,187 kg あり、床の強度と搬入経路は先に確かめておきたい項目です。導入実績は、2026年4〜6月期に累計200台目の設置に達し、同期末でバリデーションまで終えたシステムは世界で169台でした。販売では2025年2月に、Merck のライフサイエンス事業(米国では MilliporeSigma)と5年間の販売提携を結び、両社が並行して売っています。Merck 経由で売れた装置も含め、設置、バリデーション、保守は Rapid Micro Biosystems が担います。迅速法として正式に使うには、USP〈1223〉や Ph. Eur. 5.1.6 に沿って、従来法と同等以上であることを示す必要があります。置き換えは、バイオバーデンや水の試験のように本数が多く、出荷の判定に直結しにくい試験から始めるのが一つの手です。⁠価格は公表されていないので、国内での保守とバリデーションの支援範囲とあわせて、同社または販売店に確かめます。

導入で確認したいこと

※ 本ページは公開情報(Rapid Micro Biosystems の製品情報・決算発表)をもとにした Proglenth 編集部による整理です。仕様・数値の詳細は公式情報をご確認ください。

主要諸元

測定方式生育ベースの迅速微生物検査。培地で育つ微小コロニーに青色光を当て、細胞が自然に出す蛍光(自家蛍光)を拡大なしのカメラで撮影して数える。試薬を足さず、菌を壊さない
対象試験環境モニタリング(空気・表面・作業者)、バイオバーデン、水、無菌試験
結果までの時間(同社公表)最初の検出まで 12時間、環境モニタリング 32時間、バイオバーデン 24時間、水 48時間。最終的な値はバリデーションで決める
処理能力カセット660個とバッファー40か所を保持、最大220カセット/日(年に約7万個)
インキュベーター2基。2つの温度で使い分けるか、同じ温度で容量を倍にする
誤判定率(同社公表)コロニー単位で偽陽性 0.5%未満、偽陰性 0.1%以下
データ管理21 CFR Part 11 に対応、LIMS と連携
設置本体重量(空)1,187 kg、電源 200〜240 VAC 単相

いずれもメーカー公表値です。構成やキットにより異なるため、実際の条件はメーカーの製品ページでご確認ください。

メーカー公式
Rapid Micro Biosystems
製品ページを見る ↗

本ページは各社の公開情報をもとに、Proglenth編集部が整理したものです。仕様・数値はメーカー公表値、発言は発表資料からの引用(英文は編集部訳)であり、本ページは販売・推奨を目的とするものではありません。導入の検討では必ず一次情報とメーカーへの確認を行ってください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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