「せん断」とは?
別名・英語表記:シア
液の流れのずれによって生じる力。強すぎると細胞が破砕され微粒子が増えたり、タンパク質が損傷したりする。
別名・英語表記:シア
液の流れのずれによって生じる力。強すぎると細胞が破砕され微粒子が増えたり、タンパク質が損傷したりする。
液の流れにずれが生じるとき、その境界に働く力がせん断(シア)です。培養スケールの拡大や酸素供給の強化など、製造を有利にする操作の多くがせん断を同時に高めてしまうため、細胞の生存やタンパク質の品質を守りながら工程を最適化する難しさの核心に位置します。
せん断が問題として浮かび上がる場面は製造工程のあちこちに散らばっています。培養工程では、撹拌や散気を強めると細胞が受けるせん断も大きくなります。ただし、一般的な動物細胞培養のスケール・回転数では、インペラによる直接のせん断で細胞が死ぬことはさほど多くありません。むしろ散気泡の破裂などが問題になりやすく、そのため酸素分率を上げる、散気を強める際のせん断対策を強化する、膜を介した無泡供給に切り替えるといった手段が検討されます。回収・精製工程でも、pH・温度・酸化・宿主プロテアーゼとならぶ失活要因の一つとして挙げられており、比活性を落とさずに純度を高めるうえで抑え込むべき対象です。
酸素供給能(kLa)や混合の特性がスケール間でずれると、せん断のプロファイルも変わります。大規模と小規模でこれらの特性が食い違えば、小スケールで構築したモデルはそのまま当てにならないため、スケールアップ設計においてせん断は酸素供給・混合と一体で検討する必要があります。マイクロキャリアを用いた足場依存性細胞の培養では、ビーズ表面でのせん断との折り合いが固有の難しさとして残り、多孔性タイプのキャリアは細胞を内部空隙に入り込ませることでせん断から守る設計思想を採っています。ワクチン・ウイルスベクター・細胞治療の大量培養を成立させる基盤技術でもあるだけに、この折り合いをどうつけるかが実務上の重要課題です。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。