「ベクターゲノム(vg)」とは?
別名・英語表記:vg
組織中に存在するベクターの遺伝子の量。qPCR等でコピー数として定量し分布を評価する。
別名・英語表記:vg
組織中に存在するベクターの遺伝子の量。qPCR等でコピー数として定量し分布を評価する。
ベクターゲノム(vg)は、AAVなどのウイルスベクターにおいてゲノムを内包した粒子の数を表す指標で、投与量を規定する重要品質特性の中核です。ただし「ゲノムが入っている」ことと「感染できる」ことは別であり、この乖離をどう評価するかが製造・品質管理の核心的な問いになります。
AAVの力価には、ゲノムを内包した粒子数を測るゲノム力価(vg/mL)、粒子全体を数える総カプシド(cp)、そして実際に感染できる粒子数を測る感染力価(IU)という異なる軸があります。ゲノム力価が数えるのはあくまで「封入ゲノムの数」であり、その粒子が感染できるかどうかは保証しません。総ゲノム力価を感染力価で割ったvg/IU比(particle-to-infectivity ratio)が、ゲノムを内包した粒子のうちどれだけが実際に感染できるかを表す品質・一貫性の指標として用いられます。
vg/mLの測定には前処理の順序が重要です。ヌクレアーゼはカプシド外の裸のDNAを分解し、カプシドに保護された封入ゲノムは残す性質があります。そのため、DNase消化・失活・カプシド分解・ゲノム放出という順序で処理して初めて、封入ゲノムだけを選択的に定量した意味のあるvg/mLが得られます。ddPCRによる定量がこの測定の中心として位置づけられており、得られた値は投与量(vg/kg)を直接規定する数値として機能します。
ddPCRとELISAの比であるvg/cpは日常的な製造管理の指標として使われますが、「vg/cpが0.4だった」という数字は、測定手法とバリデーション条件をセットにしない限り、他の施設や他のロットの0.4と単純に比較することはできません。数値そのものではなく、どのような条件で得られた数値かという文脈が品質評価の前提になります。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。