用語集

AAVベクター」とは?

別名・英語表記:Adeno-Associated Virus vector / rAAV

アデノ随伴ウイルスを改変して治療用遺伝子を細胞へ運ぶために用いる、非病原性の遺伝子導入用ウイルス粒子。

アデノ随伴ウイルスを改変した非病原性の粒子で、治療用遺伝子を細胞へ届けるために使われます。遺伝子を効率よく運べる利点の裏に既存免疫に捕捉されうる弱点があり、また積載できる遺伝子のサイズにも上限があるため、どの疾患・どの遺伝子に使うかを慎重に見極める必要があります。

利点と弱点は同じ出自の表と裏

AAVベクターは野生型AAVを改変してつくられるため、遺伝子を効率よく細胞へ運べるという強みと、既存免疫に捕捉されうるという弱みは、どちらも同じ由来から生じています。加えて、積載できる遺伝子のサイズはおよそ4.7 kbまでとされており、プライム編集のように酵素とpegRNAを組み合わせた大きな構成要素はこの上限を超えてしまうことが知られています。ベクターの選定においては、こうした積載量の制約と免疫原性のリスクを同時に考慮する必要があります。

製造工程で押さえておくべき三つの関門

AAVベクターの製造では、まずトランスフェクションに用いるプラスミドDNA(pDNA)をどこからどのグレードで調達するかという問題が生じます。続いて、清澄化直後の培養液には目的のベクターがわずかしか含まれていないため、精製工程で十分な充填カプシドを確保できるかが課題になります。さらに精製後の原薬はそのままでは最終製品にはなれず、投与に耐える形への「処方」と無菌的な「充填」を経てはじめて製剤となります。この三段階それぞれで品質と収率に関わる判断が求められます。

ゲノム構造の基本――ITRとは

すべてのrAAVゲノムには、導入遺伝子の設計によらずITR(逆位末端反復配列)がゲノムの両端を挟む形で共通して存在します。この保存領域はrAAVに固有の構造的特徴であり、AAV由来の配列を末端に組み込むceDNAやCELiDといった非ウイルス性ベクターがAAVベクターの文脈で扱いやすいとされる背景にもなっています。ITRの存在を理解しておくことは、ベクターゲノムの設計や関連技術を読み解くうえでの出発点になります。

この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。

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