GEN の報道によれば、藻類由来の食品開発に対して Gates Foundation の賞が贈られた。Mingyu Qiao 博士の近年の研究は DHA(ドコサヘキサエン酸)を対象としており、DHAは同氏の研究室で分離された微細藻類株で生産されるという。DHAは胎児および乳児の脳と眼の発達に重要とされる。
微細藻類を「培養装置で回す」ということ
微細藻類による物質生産は、微生物発酵と共通する枠組みを持ちながら、条件がいくつか異なる。
光をどう与えるかが最大の違いである。従属栄養で回す株もあるが、光合成に依存する培養では、槽が大きくなるほど中心部に光が届かなくなる。培養液の深さ、混合、光源の配置が生産性を決める。撹拌槽での酸素供給が律速になる好気発酵とは、律速の所在が違う。
その上で、微生物発酵の運転方式——回分・流加・連続——という整理はそのまま当てはまる。何をどのタイミングで供給し、培養液をどう出し入れするかが、増殖速度と目的物の蓄積を左右する構図は共通している。
脂質を回収する工程
DHAのような脂質を目的物とする場合、下流工程の性格が変わる。
- 細胞内に貯まるため、まず細胞を壊す必要がある
- 抽出の条件が収率と品質の両方を決める
- 酸化されやすいため、工程中と保存中の酸化管理が要る
高度不飽和脂肪酸は二重結合が多く、空気と熱に弱い。抽出・濃縮・乾燥の各段階で、温度と酸素をどこまで抑えられるかが製品の質に直結する。分泌型のタンパク質生産とは、押さえどころが大きく異なる。
食品と医薬の接点
この事例は食品分野の話だが、培養で有用物質を作り、回収して精製するという骨格は医薬品製造と同じである。実際、細胞培養や発酵の装置・単回使用資材は、両分野で重なる技術基盤の上にある。
栄養供給を目的とした生産では、医薬品ほどの純度は求められない一方、コストと生産規模の要求が厳しくなる。同じ培養技術でも、何を優先して設計するかで工程の姿は変わる——その対比を見る材料として読める事例である。
※ 本ページは公開情報(GEN の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。研究の詳細・所属機関・受賞の枠組みは一次情報をご確認ください。