低分子医薬基礎知識・製造工程

造粒とは?湿式と乾式、直打をどう使い分けるか

造粒とは、⁠細かい粉を集めて適度な大きさの粒にする操作です。医薬品では、多くの場合打錠やカプセル充填処方済みの溶液をバイアルやシリンジなどの容器へ無菌的に充填し、封止する製造工程。の前段に置かれます。

理由は単純で、⁠粉のままでは均一に量れないからです。錠剤の重量は臼に入った粉の体積で決まるため、流動性が悪ければ入り方が回ごとに変わります。細かい粒子と粗い粒子が分かれてしまえば(偏析)、場所によって組成も変わります。造粒はこの2つを同時に解きます。

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造粒とは?湿式と乾式、直打をどう使い分けるか
この記事の要点
  • 造粒の目的は、流動性を上げることと、偏析を防ぐことの2つです。
  • 湿式は水と熱を通す代わりに幅広い処方に効き、乾式は水を使わずに流動性だけを上げます。
  • 造粒の条件がぶれると、打錠でいくら調整しても収まりません。

粉のままだと何が起きるか

原薬と賦形剤有効成分以外の添加剤。鉱物由来のものは元素不純物の由来として注目される。を混ぜただけの粉には、いくつか困った性質があります。

  • 流れにくい⁠。粒子が細かいほど付着力が効き、ホッパーの中で詰まったり、流れ方がばらついたりします
  • 分かれる⁠。粒子径mRNAなどを包む脂質ナノ粒子(LNP)の大きさと、有効成分を内包できた割合です。品質や効果に関わる指標です。詳しく →や密度が違う成分は、振動や流動で分離します。混ぜた直後は均一でも、臼に届くまでに偏ります
  • 圧縮しにくい⁠。粒子どうしが噛み合わず、押しても固まらないことがあります

造粒は、複数の成分を1つの粒の中に閉じ込めることで、2つ目を根本から防ぎます。粒が大きくなれば1つ目も改善します。

湿式造粒

結合剤を溶かした液を粉に加えて練り、湿った塊を作ってから砕き、乾燥させて整粒します。最も広く使われる方法です。

効くところ

  • 幅広い処方に適用できます
  • 含量均一性錠剤やカプセルなど固形の医薬品が規格どおりかを確かめる試験で、成分が溶け出す速さ(溶出)、1錠ごとの含量のばらつき、錠剤の硬さなどを調べます。詳しく →が上がります。原薬原薬。精製を終えた有効成分そのもので、製剤化する前の段階を指す。の割合が低い製品ほど効果が出ます
  • 結合剤が粒子をつなぐため、低い打錠圧でも固まります

代わりに気をつけること

  • 水と熱を通します⁠。加水分解や熱に弱い原薬では安定性への影響を確認する必要があります
  • 結晶形が変わることがあります⁠。水和物になったり、非晶質結晶化溶液中の目的物質を固体の結晶として析出・単離する精製操作で、不純物の除去にも利用される。したりします
  • 工程が長い⁠。練る・乾かす・整粒するの3段が入ります

加える液の量、練る時間、乾燥の終点。これらが粒の性質を決め、そのまま錠剤の性質に伝わります。

乾式造粒

粉を一度強く圧縮してリボン状にし、それを砕いて粒にします。ローラーコンパクションが代表的です。

水も熱も使わないので、⁠水に弱い原薬熱に弱い原薬に向きます。工程も短くなります。

一方で、粉を2回圧縮することになるため、⁠打錠時の結合力が落ちることがあります。1回目の圧縮で粒子が変形しきってしまい、2回目に固まりにくくなる現象で、過圧縮と呼ばれます。ローラーの圧力と回転速度が、この加減を決めます。

直接打錠(直打)

造粒せず、混ぜてそのまま打つ方法です。工程が最も短く、水も熱も使いません。

成立させるには、⁠原薬の粉体物性がよいことか、⁠原薬の含量製品にどれだけの目的物質が含まれるか(含量)や、その生物学的な効き目の強さ(活性)を示す指標です。培養液中の産生量を指す場合もあります。詳しく →が低いことが要ります。含量が低ければ、流動性と圧縮性の優れた賦形剤(直打用グレード)で全体の性質を決められるためです。

逆に、原薬の含量が高く、その原薬が細かく流れにくい粉であれば、直打は難しくなります。ここが造粒の要否を分ける最も大きな軸です。

乾燥の終点をどう決めるか

湿式造粒で最も判断が要るのが、乾燥をいつ止めるかです。

  • 乾かしすぎると、粒がもろくなり、打錠中に崩れて微粉が増えます
  • 乾かし足りないと、保存中に安定性の問題が出ます。硬度も経時で変わります

多くの現場では乾燥減量(LODその方法で確実に検出できる最小の量。試験法が求める感度を満たすかを評価する指標です。)で管理しますが、抜き取って測るぶん時間がかかります。そこで、流動層の排気温度や、近赤外によるインライン測定を組み合わせる構成が採られます。⁠測っていない時間をどう埋めるかが設計の要点になります。

スケールアップで変わること

造粒は、装置が大きくなると条件がそのままでは通りません。

  • せん断流れの中で分子にかかる物理的な力。強すぎると抗体の凝集や微粒子発生を招く。のかかり方が違う⁠。高速攪拌造粒では、翼の周速と滞留時間抗体が標的に結合し続ける時間。解離の遅さ(小さいkd)で長くなり、効き続けやすさに関わる。で粒の育ち方が変わります
  • 乾燥の速さが違う⁠。流動層の風量と装入量の比で、乾燥時間が変わります
  • 混ざるまでの時間が伸びる⁠。結合剤液の分散が不均一だと、粒度分布が広がります

小型機で決めた「時間」をそのまま使うのではなく、⁠何が同じなら同じ粒ができるかを決めてから移すことになります。スケールダウンモデルを商用機に合わせて作っておくと、技術移管のときに規格を書き直さずに済みます。

工程内管理で見る指標

日々の運転で追う項目は限られています。

  • 粒度分布⁠:ふるい分けまたはインラインの粒子径測定
  • かさ密度・タップ密度⁠:流動性の代理指標(Carr指数など)
  • 水分⁠:乾燥後の含水率
  • 流動性⁠:安息角、あるいは実際の充填のばらつき

どれを重要工程パラメータとして扱うかは、工程特性解析で決めます。造粒は変数が絡み合うため、一つずつ振るより計画実験で組んだほうが早く収まります。商用で回し始めた後は、継続的工程確認で、原料ロットや季節による変動が粒度と水分にどう出ているかを追うことになります。

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、低分子医薬に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。