バリデーションとベリフィケーションの違いとは?「作り込む」と「確かめる」

まず結論:作り込むのがバリデーション、確かめるのがベリフィケーション
似た言葉ですが、指しているものが違います。
- バリデーション試験法が目的に合う性能を持つことを立証する妥当性確認。正確さ・精度などを評価する。(validation)=その方法や工程が、目的に合う結果を安定して出せることを、事前に実証して作り込むこと。新しい方法・工程を「使えるもの」に仕立てる作業。
- ベリフィケーション(verificationすでに確立された方法が、自施設の条件・機器・サンプルで意図どおりに機能することを確認する作業。)=すでに確立された方法が、自分の現場・条件でも意図どおり機能するかを確かめること。ゼロから作り込むのではなく、既存のものが手元で通用するかの確認。
ざっくり言えば、バリデーションは「一から実証する」、ベリフィケーションすでに確立された方法が、自施設の条件・機器・サンプルで意図どおりに機能することを確認する作業。は「借りてきたものが自分の環境で効くか確かめる」です。
新しく作った方法や工程は「バリデーション」で作り込む。薬局方などで既に確立された方法を自社で使うときは、そのまま丸ごとバリデーションし直すのではなく「ベリフィケーション」で自現場での適合を確かめる——目的とスタート地点が違います。
分析法での使い分け
いちばん分かりやすいのが分析法です。ICH Q2(R2)は、新規・変更した分析法のバリデーション(正確さ・精度・特異性分析法において、共存する不純物・分解物・添加剤などが存在しても目的成分だけを正確に測定できる能力。・検出限界/定量限界・直線性・範囲・頑健性培養時間や試薬ロットなど条件を少し振っても、アッセイの値が耐えて安定する性質。などを実証)を扱います。一方、薬局方国または地域の公的機関が定める医薬品の規格・試験法・品質基準を収載した公定書。に収載された確立済みの試験法を自社で使う場合は、その方法が自分のサンプル・装置で意図どおり機能するかを確かめるベリフィケーションが問われます(例:USP米国で医薬品・原料・試験法の公式基準を定める公定書で、製薬用水に関する規格も収載されている。 <1225>が方法バリデーション、<1226>が薬局方法のベリフィケーションを扱う)。
| バリデーション | ベリフィケーション | |
|---|---|---|
| 対象 | 新規・変更した方法/工程 | 既に確立された方法(薬局方法など) |
| 問い | 目的に合う性能を出せると実証できるか | 自分の現場でも意図どおり機能するか |
| 作業量 | 一から性能を作り込む | 必要な項目に絞って確認 |
| 例 | 自社開発のHPLC類縁物質試験医薬品原薬や製剤中に含まれる不純物・分解物・合成副産物などの類縁化合物を検出・定量する試験。 | 薬局方の一般試験を自社で導入 |
なお、試験室間で確立済みの方法を移すときは分析法の移管という枠組みもあり、これも「新規に作り込む」より「移して同等性変更前後が完全に同一でなくても、品質・安全性・有効性で高い類似性を保ち差異が悪影響しないと言える状態。を確かめる」性格の作業です。日々の運用が想定どおりかはシステム適合性で確認します。
工程や装置でも同じ発想
この「作り込む/確かめる」の対比は、分析法に限りません。製造工程では、工程が規格に適合する製品を安定して生むことを実証するプロセスバリデーション決めた製造工程が、いつも安定して規格に合う製品を作れることを事前に実証し、その後も確認し続ける取り組みです。承認申請や品質保証の土台になります。詳しく →があり、装置・設備でも据付・運転・稼働性能を確認していきます。いずれも「新しく確立するときはバリデーションで作り込み、既に確立されたものを導入・維持するときはベリフィケーションで確かめる」という関係で整理できます。GMP医薬品を一定の品質で安全に造るために守るべき製造・品質管理の基準(適正製造規範)です。詳しく →の基本的な考え方はGMPとはも参照してください。
まとめ
- バリデーション=目的に合う性能を事前に実証して作り込む(新規・変更向け)。
- ベリフィケーション=確立済みの方法が自現場で意図どおり機能するか確かめる(薬局方法の導入など)。
- 分析法ではICH医薬品規制の国際調和を目的として、日米欧の規制当局と製薬業界が参加する国際的なガイドライン策定機関。 Q2やUSP <1225>/<1226>で整理され、工程・装置でも同じ「作り込む/確かめる」の対比で捉えられる。