「フロースルー」とは?
クロマトグラフィーで担体に結合せず素通りして流れ出る画分。不純物を通過させて除く場合などに利用する。
クロマトグラフィーで担体に結合せず素通りして流れ出る画分。不純物を通過させて除く場合などに利用する。
フロースルーとは、クロマトグラフィーで担体に結合しなかった成分がそのまま流れ出る画分のことです。「目的物を捕まえる」のとは逆に「不純物を捕まえて目的物を通過させる」という発想で使われるため、工程設計の方向性を根本から決める概念です。
クロマトグラフィーの運用は大きく二つに分かれます。目的物を担体に結合させてから溶出液で回収する「結合溶出モード」と、目的物をあえて素通りさせて不純物だけを担体に捕捉する「フロースルーモード」です。どちらを選ぶかは、目的物と不純物の帯電状態など物性の関係で決まります。イオン交換クロマトグラフィーであれば、目的物と不純物の帯電の差がそのまま判断軸になります。HCP、宿主細胞DNA、培地成分といった不純物の大部分がフロースルーや洗浄で除かれる一方、目的物を担体上に留める設計が代表例です。
フロースルーモードは、DNA、ウイルス、HCPのように大きく荷電した不純物をまとめて除きたい場面で特に有効とされています。メンブレンクロマトグラフィーは対流輸送によって高流速でも結合容量が落ちにくいため、こうした不純物のフロースルー除去で強みを発揮します。また、エタノールを含む条件下でdsRNAをセルロースに選択的に吸着させ、目的の一本鎖RNAをフロースルー画分として回収するような、吸着性の差を利用した精製設計にも応用されます。近年は複数のステップを連続してフロースルーで連結する全フロースルー型の検討も進んでいます。
フロースルーをプロセス管理の観点から捉えるとき、フロースルー側に流れ出た目的物の濃度がフィード濃度の一定割合に達した時点を基準にカラムへ入った量を換算する、といった指標が用いられます。どこまでカラムに負荷をかけられるかという負荷容量の議論と直結しており、高負荷で不純物を除去しながら全体収率を確保するバランスが設計上の課題となります。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。