Drug Discovery & Development の報道によれば、Thermo Fisher の Patheon 部門が、テキサス州のCDMO AustinPx と独占契約を結んだ。AustinPx の技術 KinetiSol を、Patheon のオレゴン州Bendおよびオハイオ州Cincinnatiの拠点に導入する。AustinPx は経口製剤のバイオアベイラビリティ向上を専門とする企業である。
何のための技術か
経口の低分子医薬では、水に溶けにくい化合物をどう吸収させるかが繰り返し課題になる。BCS分類でいうClass IIのように、溶解が吸収の律速になる化合物では、結晶のままでは十分な曝露が得られない。
対策の代表格が非晶質固体分散体(ASD)である。結晶格子を壊して非晶質にし、ポリマー担体の中に分散させることで、見かけの溶解度を上げる。製造法としてはスプレードライとホットメルト押出(HME)が主流だが、いずれも制約を持つ。
- スプレードライ:溶媒に溶ける化合物であることが前提。残留溶媒の管理と溶媒回収の設備が要る
- ホットメルト押出:溶媒は不要だが、薬物とポリマーの双方が加工温度に耐える必要がある
熱に弱く、かつ溶媒にも溶けにくい化合物は、このどちらでも扱いにくい。難溶性化合物の製剤化で技術の選択肢が並列に語られるのは、万能な一手が無いためである。
拠点に「入れる」ということ
今回の発表で実務的に意味があるのは、技術が特定のCDMO拠点に据えられるという点にある。
可溶化技術は、装置と条件設定と経験がひとつになって初めて動く。導入とは装置を置くことではなく、その拠点で再現できる状態を作ることを指す。委託する側から見れば、どの拠点で、どの規模まで対応できるのかが選定の判断材料になる。
独占契約という形は、技術の提供先を絞る代わりに、受け入れ側が投資と人員を割く根拠になる。開発初期から商用まで同じ拠点で通せるかどうかは、技術移転の回数を減らすという点で開発期間に効いてくる。
※ 本ページは公開情報(Drug Discovery & Development の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。契約条件・導入時期・対応規模の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。