品質特性・分析

同一性確認(アイデンティティ)とは?

同一性確認は、その製品が「目的の分子そのものである」ことを示す試験です。タンパク質ではペプチドマッピングやインタクト質量、核酸では配列・制限酵素マッピング、低分子ではNMR/IR/MSなど、モダリティに応じた手法で構造を確認します。

同一性を確認する理由
取り違え・変異がないことを示す基本要件
規格・出荷判定に必須の項目
モダリティで適した手法が大きく異なる
分類
品質特性(分析)
主な手法
ペプチドマッピング(LC-MS) / インタクト/サブユニット質量(LC-MS) / 配列解析(NGS/Sanger) / 制限酵素マッピング / イメージドキャピラリー等電点電気泳動(icIEF) / 細胞株同一性試験(STRプロファイリング) / マルチアトリビュート法(MAM、LC-MS)
代表的な基準法
ペプチドマッピング(トリプシン消化 + LC-UV/LC-MS、参照標準との対比)
主な管理パラメータ
消化条件:酵素/基質比(例 1:20〜1:50 w/w)、消化温度・時間、消化バッファーpH(脱アミド・酸化アーティファクト抑制のため可能な範囲で中性〜弱酸性側を選択)、変性・還元・アルキル化条件 / クロマト:カラム(C18等)、カラム温度、グラジエント、移動相、検出波長(UV 214 nm 等)/MSの分解能・質量精度設定 / システム適合性:参照標準マップとの相対保持時間(RRT)の一致、内部基準ピークに対する保持時間変動、主要ピークの相対ピーク面積比 / インタクト質量:脱コンビューション設定、質量許容差(ppm/Da)、グライコフォーム(G0F/G1F/G2F)の質量加算 / icIEF:両性担体(pH勾配)組成、合成pIマーカー(被験ピークを挟む2〜3点)、フォーカシング時間・電圧 / STR:解析座位セット(CSF1PO, TH01, TPOX, vWA, D5S818 等 + アメロゲニン)、アレルコールのスタッター・ピークハイト比閾値、参照プロファイルとの一致率(%)
関連分析
電荷異性体・修飾の確認 / 糖鎖プロファイル / 類縁物質・不純物 / 電荷異性体 / 糖鎖分析

手法の比較 ― どの方法で測るか

手法原理何が分かる使い分け
ペプチドマッピング(LC-MS)酵素消化後のペプチドを質量で照合一次構造・配列カバレッジタンパク質の標準的同定
インタクト/サブユニット質量(LC-MS)分子全体の質量を測定分子量・修飾の一致迅速な同一性確認
配列解析(NGS/Sanger)塩基配列を決定・照合核酸・遺伝子配列の一致プラスミド/ベクター/細胞株
制限酵素マッピング切断パターンを電気泳動で確認プラスミド構造の一致プラスミドの簡易同定
イメージドキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)全カラムイメージング検出で電荷異性体をpI軸上に分離し、合成pIマーカーで内部校正電荷プロファイル・見かけpIの参照標準との一致電荷ベースの同一性補助・ロット一貫性確認
細胞株同一性試験(STRプロファイリング)マルチプレックスPCRで多型STR座位 + アメロゲニンを増幅しCEでアレルを判定、参照プロファイルと照合ヒト細胞株の同一性・交差汚染の有無セルバンク(MCB/WCB)のヒト細胞株同定(ANSI/ATCC ASN-0002)
マルチアトリビュート法(MAM、LC-MS)トリプシンペプチドを高分解能MSでモニターし、既知品質特性の定量と新規ピーク検出を自動化配列・部位特異的修飾に基づく同一性 + 新規ピークによる純度監視同一性確認と複数QC試験の統合(出荷試験への適用)