米メリーランド州ロックビルと上海に拠点を置くCAR-T開発企業のAbelZetaは8月16日、CD20とCD19の両方を標的にするCAR-T「C-CAR039」(一般名prizloncabtagene autoleucel)について、米FDAが治験計画(IND)を認めたと発表しました。対象は再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)です。7月には、この製品の開発・製造・商業化などに関する権利をすべて自社に戻しています。米国での試験の規模や開始時期、治験に使う細胞をどこで製造するかは公表していません。
2つの標的に結合するCAR
CD19だけを狙うCAR-Tでは、治療後にCD19を失ったがん細胞が再発の原因になる例が知られています。C-CAR039は、CD20とCD19のどちらにも結合するCAR(二重特異性CAR)をT細胞に持たせた製品です。2つの抗原を組み合わせる設計の考え方は、論理ゲート型CARの解説で整理しています。
同社によれば、中国で実施した初期の臨床試験では、再発・難治性のB細胞非ホジキンリンパ腫の患者48人で、完全奏効率が85.1%でした。追跡期間の中央値53.9か月の時点で、無増悪生存期間の中央値は60.1か月です。この結果は、2026年3月の欧州血液骨髄移植学会(EBMT)で発表されました。
市販CAR-Tの後に再発した患者へ
同社はFDAと、既存のCAR-Tによる治療歴がある3次治療以降の患者と、CAR-Tを使ったことのない2次治療の患者を対象にした試験計画を詰めています。最高経営責任者(CEO)のTony (Bizuo) Liu氏は、承認済みのCAR-Tで治療した後に再発した患者には大きな医療ニーズがあり、C-CAR039がその答えになりうると述べています(発言は編集部訳)。中国では、CAR-Tを使ったことのない患者を対象にした承認申請用の第2相試験が続いています。
同社はロックビルと上海の両拠点に自社のGMP施設を持ちます。取り戻した権利には製造も含まれるため、米国の治験に使う細胞をどこで作るかは同社が決められます。自家CAR-Tは患者ごとに1ロットを製造するので、試験の地域が広がるほど、拠点の間で品質をそろえる作業も増えます。
C-CAR039が狙うのは、市販のCAR-Tで治療した後に再発した患者です。製造の権利まで自社に戻した今回の判断で、中国で積んだ実績を米国の試験にどう移すかを、同社は自ら引き受けます。
※ 本ページは2026年8月16日のAbelZetaの発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。