GEN の記事によれば、バイオプロセスの精製システムにとって「自己最適化(self-optimization)」が次の進化段階にあたる。実現は近いとしつつ、多くの構成要素の間で統合が欠けていることと、精密であるべき概念が緩く使われていることが妨げになっていると指摘している。
「自動」と「自己最適化」は違う
まず区別が要る。今日の精製装置の多くは、すでに自動化されている。
- あらかじめ決めた手順を、決めた順に実行する
- 圧力や吸光度が設定値を超えたら止める、あるいは次の段階へ進む
これはプログラムどおりに動くという意味の自動である。条件そのものは人が決め、装置は決められた範囲で反応する。
自己最適化はその先を指す。測った結果から条件を作り直す——同じ工程を回すたびに、より良い条件へ寄っていく。原料のばらつきや樹脂の劣化に応じて、溶出の切り替え点や流速を装置側が調整する、という姿になる。
5段階に共通する前提
記事が5つの段階として整理しているのは、この差を埋めるために何が要るかである。順に見れば、必要なものは概ね次の層に分かれる。
- 測ること:ラマン分光などのPATで、その瞬間の状態を得る。後からサンプルを出して測るのでは間に合わない
- 意味づけること:得た信号を、目的物の濃度・凝集体の割合・不純物量といった管理したい量に変換する。ここにモデルが要る
- 判断すること:変換した値をもとに、次の操作を決める
- 動かすこと:判断を装置の操作に反映する
- 記録すること:何を測り、どう判断し、何をしたかを残す
PATと連続生産が語られるとき、話題になりやすいのは1つ目の「測る」である。しかし実際に詰まるのは2つ目以降にあることが多い。センサーは付いたが、その値を工程の判断に結びつける部分が空いている——という状態になりやすい。
統合が欠けている、という指摘の意味
記事が「多くの部分の間の統合」を挙げているのは、この構造を指すと読める。
精製の1工程には、クロマトグラフィー装置、検出器、フラクションコレクタ、緩衝液の調製系、樹脂そのものの状態、上流から来る負荷液の性状——といった要素が並ぶ。それぞれに管理値があるが、別々のシステムで管理されていることが多い。
自己最適化は、これらを1つの制御の輪に入れることを要求する。装置単体を賢くしても、隣の情報が届かなければ判断材料が足りない。連続キャプチャのように工程どうしがつながる構成では、この要求がさらに強くなる。
用語の緩さ、という指摘
もうひとつの指摘——概念が緩く使われている——も実務的である。
「リアルタイム」「インライン」「モデル予測制御」「デジタルツイン」といった語は、指す範囲が話し手によって違う。サンプルを自動で採って5分後に結果が出る仕組みと、連続的に信号が出る仕組みを、どちらも「リアルタイム」と呼んでしまうと、必要な設計が見えなくなる。
規制の側から見ても同じことが起きる。何をもって品質が保証されたとするかは、測った量と製品品質の関係をどこまで示せるかにかかる。用語の共通理解がないまま議論を進めると、プロセスバリデーションの設計段階でつまずくことになる。
自己最適化が「近い」とされるのは、要素技術が揃ってきたためである。残っているのは、要素をつなぐ部分と、言葉を揃える部分——という整理といえる。
※ 本ページは公開情報(GEN の記事)をもとにしたProglenth編集部による整理です。5段階の具体的な内容・出典・対象システムの詳細は一次情報をご確認ください。