バイオシミラーを専門に開発・製造するアイスランドの Alvotech と、韓国の受託製造会社(CDMO)LOTTE Biologics が、長期の製造契約を結んだと2026年10月6日に発表しました。バイオシミラーは、先行する抗体医薬と同等の品質を示して承認を得る後続品です。LOTTE Biologics は米ニューヨーク州シラキュースの工場で、Alvotech の複数の抗体バイオシミラーの原薬をつくります。原薬は、製剤にする前の有効成分を指します。対象の品目名と契約金額は公表されていません。
シラキュース工場の4万Lを使う
シラキュース工場は、もとは Bristol Myers Squibb(BMS)の生産拠点です。ロッテグループが2022年5月に1億6,000万ドルでの買収を決め、翌月に設立した LOTTE Biologics が同年末に取得しました。発表によれば培養槽の容量は合計 4万L で、工程開発と品質試験の部門も敷地内にあります。最近受けた FDA の予告なしの査察でも、指摘事項はゼロだったとしています。
ただし、すぐに市場向けの原薬が出てくる段階ではありません。まず製法をシラキュースへ移す技術移転があり、移した先で同じ品質の原薬をつくれることを示す適格性確認が続きます。各国当局の承認も要ると両社は説明しています。Alvotech のリサ・グレイバーCEOは、製造網の拡大で、今後10年のパイプラインに見合う生産能力を確保できると述べています(発言は編集部訳)。
査察の指摘で止まった3件の申請
Alvotech はこれまで、原薬をアイスランド・レイキャビクの自社工場でつくってきました。その工場が査察で不備を指摘され、ゴリムマブ、アフリベルセプト、デノスマブのバイオシミラー3品目の米国申請が、2025年秋から2026年初めにかけて相次いで承認を見送られています(CRL、審査完了報告通知)。同社は6月に2品目の申請を出し直しました。7月には、5月の定期査察が「VAI(自主的な是正で足りる)」の区分で閉じられています。査察の分類で言えば、行政処分には進まない結果です。
製造所を増やす動きは、今回だけではありません。5月には FUJIFILM Biotechnologies と、米国に第2の商用供給元を置く契約を結びました。10月5日には、アダリムマブのバイオシミラー(Simlandi)の米国向け原薬を、レイキャビク工場の2つ目の製造区画でもつくれるよう FDA に認められたと発表しています。同社は、米国向けの原薬能力が実質2倍になったと説明しています。一つの工場の査察結果が複数品目の承認をまとめて止めた経験が、今回の判断につながったことがうかがえます。
日本では富士製薬工業が Alvotech の販売提携先で、2023年にはウステキヌマブのバイオシミラーが承認されています。どの品目の原薬がシラキュースに移るかは、まだ示されていません。製造所が加わる品目では、各国での承認事項の変更手続きと、移管の前後で品質が変わらないことの確認が品目ごとに要ります。
製造所を一つに頼ると、査察1回の結果で複数品目の申請と供給がまとめて止まります。今回の契約は、その危険を米国内の受託工場で薄める手です。
※ 本ページは2026年10月6日のAlvotechとLOTTE Biologicsの発表、Alvotechの過去の発表、公開報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。