韓国の大熊製薬(Daewoong Pharmaceutical)は、グループの大熊バイオが京畿道華城市に持つ第3工場に、無菌製造設備を建設しています。つくるのは、開発中のセマグルチド貼付剤「DWRX5003」です。Korea Biomedical Reviewが10月14日に報じました。2027年上半期にこの設備のGMP承認を取ることを目指し、まず治験薬を、その先は商用生産も担う計画です。投資額は明らかにしておらず、より細かな生産スケジュールの開示も控えました。
針の先端に薬を集める製法
DWRX5003は、皮膚に貼ると溶ける微小な針(マイクロニードル)で、肥満症治療薬のセマグルチドを真皮に届ける週1回の貼付剤です。関連会社の大熊セラピューティクスが持つ送達技術「CLOPAM」を使います。同社によれば、皮下注射と比べた生物学的利用率は80%を超え、従来のマイクロニードル製剤の約30%を大きく上回ります。2025年10月に韓国の食品医薬品安全処から第1相試験の承認を受けており、2027年には無菌の貼付剤を使った反復投与の第1相試験を予定しています。
新しい設備では、微細な型に薬液を均一に注ぐ自動の精密分注と、圧力をかけながら乾かして薬を針の先端に集める乾燥技術を組み合わせます。同社は、この組み合わせでセマグルチドのようなペプチド医薬の用量の均一性と、製造の安定性を高めるとしています。高用量のペプチド製剤にも対応させる方針です。
週5,000枚の治験用ラインとロボット搬送
生産能力は週5,000枚、年に20万枚で、これとは別に年1,000万枚の商用設備も準備しています。週1回貼る製剤なので、1,000万枚は1人が1年に52枚使うとして約19万人分にあたる計算です。
分注から乾燥、包装までの搬送はロボットが担い、人が直接触れる場面を減らします。無菌操作で最大の汚染源とされる人を工程から遠ざける考え方です。無菌のバリアシステムと空気ろ過、閉鎖系の配管で微生物や微粒子の混入を防ぎ、リアルタイムの監視と電子記録でデータインテグリティを支えます。セマグルチドは原薬の製造ルートが注目されがちな分子ですが、今回の投資は製剤側の話です。
製造本部長のイ・スンハ氏は「マイクロニードルのような新しい剤形では、技術を開発するだけでなく、厳しいGMPのもとで最高水準の無菌性と品質を示すことが最優先だ」と述べています(発言は編集部訳)。
注射を貼付剤に置き換える試みでは、吸収のよさと並んで、無菌の製品を同じ品質で量産できるかが問われます。大熊製薬は臨床試験の段階から、その量産の器を先に用意しようとしています。
※ 本ページは2026年10月14日のKorea Biomedical Reviewの報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。