イタリアの無菌充填装置メーカーSterilineは、10月6〜8日にミラノで開かれたCPHI Milan 2026で、ロボットで充填するライン「VKSFCM11」を披露しました。アイソレーターの中でロボットが容器を扱う構成です。同社は、工程の柔軟さと、製品を無駄にしない「ゼロロス」の考え方を両立し、EU GMP Annex 1に完全に適合すると説明しています。処理能力や価格は公表していません。
小ロットと細胞・遺伝子治療に向けた設計
同社がこのラインの用途に挙げるのは、小ロットの製剤と細胞・遺伝子治療です。細胞治療の製剤は1回の製造量が少なく、1本あたりの価値が高いため、充填の途中で失う量がそのまま費用に響きます。患者1人分の細胞なら、作り直しには採血からやり直す時間もかかります。ロボットが容器を1本ずつ扱う方式は、品目や容器の切り替えにも対応しやすく、少量多品目の充填に向いています。
細胞治療の製剤は、充填したあと凍結して運ぶことが多く、充填と凍結保存の段取りまで含めて工程を組みます。充填機の選択は、その段取り全体の前提になります。
カメラとAIでセンサーを減らす設計
ラインには、同社が7月に発表した「OmniAI Vision」を組み込みました。カメラの画像をAIで処理して工程を監視する仕組みです。同社によれば、必要なセンサーやカメラの数を減らせるため、Annex 1が求める汚染管理に役立ち、無菌エリアの空気の流れ(層流)も乱しにくくなります。アイソレーターの中に置く機器が少ないほど、気流を妨げる物も、清掃や除染の手間も減ります。
少量の高価な製剤を充填するとき、問題になるのは速さより失う量です。今回のラインは、ロボットとAIで、その損失と汚染の機会を同時に減らそうとする提案です。
※ 本ページはCPHI Milan 2026に向けたSterilineの発表と、その報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。