クロマトグラフィー担体(レジン)を手がける JNC株式会社 が、9月22日からボストンで開催中の BioProcess International East 2026 で、開発中の新型担体「MLP(monolith-like particle)」を披露しました。同社の主力製品「Cellufine」シリーズの新しい柱として位置づけられており、ウイルスベクターやワクチンなど、精製したい粒子そのものが大きくなっているという下流工程の課題に狙いを絞っています。
孔を大きくして、大きな粒子を通す
従来の多孔質担体は、抗体のような比較的小さな分子を想定してビーズの孔を設計してきました。ところがAAVベクターやウイルス粒子、ワクチン原体は、抗体よりも一回り大きい粒子です。孔が狭いままだと、目的の粒子がビーズの内部まで入り込めず、結合容量を稼げません。MLPは、大きな孔を持つビーズ構造を採用することで、かさばる生体粒子でも担体内部へのアクセスを確保しようとする設計です。
AAVの空・実分離と、ワクチン濃縮での実データ
MLPのうち「MLP DexQ」は、AAVベクター製造で長年の難所とされる空・実カプシドの分離への適用を検討しています。中身の詰まっていない空カプシドは免疫原性のリスクにつながるため、実カプシドとの分離精度は製剤の品質を左右する要素です。
もう一方の「MLP DexS」は、ligand(リガンド)にデキストラン硫酸を用いた担体で、ワクチンのような大粒子への適用を検証しています。JNCが示したデータによれば、不活化インフルエンザウイルスを対象にした試験ではウイルスを13倍に濃縮しながら、タンパク質不純物を90.3%低減しました。ヒトコロナウイルスOC43を使った別の試験では、タンパク質不純物を97.3%低減しつつ、ウイルス回収率91%を達成したとしています。もっとも、MLPはCellufineの既存ラインアップと並行して開発が進められている段階で、商業スケールでの提供時期や価格は示されていません。示されている数値も、現時点ではJNC自身が計測した社内データです。AAVやワクチンの製造では、担体の結合容量だけでなく、圧力耐性や洗浄・再生(CIP)でのアルカリ耐性も実運用での評価軸になるため、量産導入の判断にはこうした項目の追加データが必要になります。
粒子が大きくなるほど、担体の孔の大きさが精製効率を決める。JNCが示したのは、その孔を広げる方向での対応策です。
※ 本ページはBioProcess International East 2026(2026年9月22日〜25日、ボストン)での展示・報道をもとにした紹介です。仕様・提供時期の詳細は公式情報をご確認ください。