細胞・遺伝子治療のCDMOである Minaris Advanced Therapies と、合成生物学の Asimov が提携しました。2026年9月24日、PR Newswireを通じた発表です。MinarisのウイルスベクターイノベーションエンジンであるOXGENEが持つ技術を、AsimovのAAV製造用細胞株プラットフォーム「AAV Edge」に組み込み、製造力価と製品品質の向上を目指します。
ベクター設計の知見と、細胞株の基盤を組み合わせる
OXGENEは、AAV向けの「TESSA」とレンチウイルス向けの「XOFLX」という2つのプラットフォームを持ち、ベクター設計・プラスミド・細胞株開発に深い知見を蓄積してきました。一方のAsimovは、AI主導の合成生物学を武器に、クローン化・懸濁馴化・GMPバンク化済みのHEK293宿主細胞株と、血清型を問わず使える最適化2プラスミド系を組み合わせた「AAV Edge」を展開しています。同システムはモデル駆動の工程開発により、非濃縮の状態で1mLあたり10の12乗ウイルスゲノム(vg/mL)に達する力価を実現しているとされます。今回の提携は、この2つの技術を1つの細胞株にまとめる試みです。
MinarisのChief Commercial & Technology OfficerであるEytan Abraham氏は、「Minarisは、製造の卓越性の水準を引き上げる技術提携を通じて、細胞・遺伝子治療業界を後押しすることに力を入れています。私たちは自社技術の民主化と、ウイルスベクターというモダリティを患者のために実現する多様なソリューションの創出を信じており、Asimovが次世代のAAV製造用細胞株を生み出す取り組みを後押しできることを大変嬉しく思います」と述べています。
AAV製造の量産化が抱える難所
AAVベクターを使う遺伝子治療の開発企業にとって、AAV製造は依然として大きな壁です。1つのプログラムを走らせるだけでも大量のベクターが必要になり、しかも製品品質の担保が欠かせません。細胞株の性能が低いままでは、必要な量を確保するために培養スケールを無理に引き上げることになり、コストと工程の複雑さが跳ね上がります。両社は今回の提携を、業界が抱える生産上の課題の1つに対する解として位置づけています。
Asimovにとっては、自社の合成生物学の専門性に、Minarisが積み上げてきたベクター設計・プラスミド・細胞株開発の知見を上乗せできる提携です。Minarisにとっては、自社技術をAsimovの顧客基盤を通じてより広く届けられる機会になります。もっとも、統合後の細胞株が実際にどれだけの力価向上を達成するか、商業提供の時期がいつになるかは、現時点の発表では示されていません。
細胞株そのものの性能を底上げできれば、培養スケールを無理に引き上げずに必要量を確保できる。今回の提携はその方向を狙ったものです。
※ 本ページは2026年9月24日の発表をもとにした紹介です。技術の詳細・提供時期は公式情報をご確認ください。