保土谷化学工業が、核酸医薬のCDMO事業を担う100%子会社として、株式会社NuChord(ニュコード)を9月1日付で設立しました。資本金は2億円です。開示は9月2日に出ています。狙いは、核酸医薬の原料素材の供給から、GMPに準拠した原薬の製造までを1社で引き受ける体制を作ることにあります。
同社は2026年5月に公表した中期経営計画「CODE/CHORD 2030」で、有機EL材料事業に続く新しい成長エンジンとして核酸医薬CDMOへの参入を掲げていました。今回の子会社設立は、その計画を実行の段階に移す手続きです。
原料素材から入る、という順番
新会社が足場にするのは、韓国のSFC CO.,LTD.を通じて積み上げてきた、オリゴ核酸の原料素材の開発と受託合成のノウハウです。原薬の受託から始めるのではなく、その手前の原料素材から入っていきます。
この順番には理屈があります。アンチセンス核酸やsiRNAの製造では、伸長反応を回す固相合成そのものよりも、アミダイトや担体の品質が最終的な純度を左右します。不純物の多くは原料に由来していて、後段のクロマトグラフィーで削り切れるとは限りません。原料を握っている側が原薬まで手を伸ばすのは、素材屋から製薬受託への自然な伸び方です。
製造の実体としては、郡山工場(福島県郡山市)に核酸医薬原薬の製造に対応するクリーンルームなどを備えた新棟を整備する計画が示されています。
投資の規模と稼働時期は、今回の開示には無い
新棟の総投資額も、稼働の時期も、今回の開示からは読み取れません。GMP製造をどの規模から立ち上げるのかも示されていません。核酸医薬の受託は、合成のスケールと精製の取り回しで成否が分かれるので、ここが決まらないと引き合いの当てどころも定まりません。
素材の会社が原薬まで下りてくるとき、賭けているのは設備ではなく、自社の原料で作った原薬のほうが不純物が読める、という一点です。
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。事業の範囲・投資額・時期の詳細は公式情報をご確認ください。