灌流(パーフュージョン)技術がバイオ製造の現場で急速に採用が進んでいる。Genetic Engineering and Biotechnology News(GEN)が報じたところによれば、連続的な培地交換と高い細胞密度の維持を同時に実現できるこの手法は、医薬品製造の生産性向上を追い求める業界全体のトレンドと合致し、勢いを増している。
パーフュージョンとは何か、なぜ注目されるのか
パーフュージョン培養とは、バイオリアクター内の細胞を保持したまま新鮮な培地を継続的に供給し、代謝産物を含む使用済み培地を連続的に排出する技術だ。従来のフェドバッチ培養では培養終了時に一括回収するのに対し、パーフュージョンでは産物を連続的に回収できるため、バイオリアクター当たりの実質的な生産性が飛躍的に向上する。特にモノクローナル抗体や不安定な生体分子の製造において、産物の暴露時間を短縮できる点が大きなメリットとして挙げられる。
加えて、パーフュージョン培養は連続バイオプロセスの上流工程として位置づけられ、下流の連続クロマトグラフィーや連続ウイルス不活化プロセスとの統合が進めば、施設の面積や設備投資を抑えながら生産量を引き上げる「プロセス強化」の中心的な要素になり得る。
採用拡大の背景にある課題と解決の方向性
パーフュージョン技術の普及にはいくつかのハードルが存在する。細胞保持デバイス(ATF:交互接線流フィルターや中空糸フィルターなど)の管理、培地コストの増大、そして工程パラメーターの定常状態維持が代表的な課題だ。また、規制当局への申請戦略も、バッチ製造とは異なるアプローチが求められる。こうした障壁に対しては、プロセス分析技術(PAT)や機械学習を活用したリアルタイム制御の高度化が進んでおり、製造現場でのロバスト性が着実に向上している。
GENの記事はCytovanceのCharles Solanke氏の発言を引き、灌流ではフェドバッチより同じバイオリアクター容量あたりの産物量が大きく増えると伝えている。高強度の灌流培地では細胞密度が1億〜2億個/mLに達しうること、ATFやTFFの改良でフィルターの目詰まりが減っていること、ラマン分光や静電容量プローブによるリアルタイム計測が商用工程に入りつつあることも挙げている。バイオシミラーや次世代モダリティの製造コスト削減が求められる中で、灌流技術が製造戦略の選択肢として標準化されていく流れは、当面続くとみられる。
※ 本ページは公開情報(Genetic Engineering and Biotechnology News報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。