技術トピック
2026.08.15

濁ったLNPをそのまま測る「散乱フリー吸収分光」——RNA量を短時間で定量

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Photo: Tran Mau Tri Tam ✪ / Unsplash

GEN の記事によれば、⁠散乱フリー吸収分光(SFA:Scatter-Free Absorption spectroscopy)⁠により、⁠濁ったLNP(脂質ナノ粒子)試料の中のRNAとリガンドを15秒で、正確かつ再現性よく定量できるという。

mRNA-LNPの工程で、含量をどう測るかは古くからの課題である。この手法は、その測りにくさの原因そのものに手を入れる考え方をとる。

濁りが吸光度測定を壊す仕組み

核酸の定量は、260 nmの吸光度から求めるのが基本である。ところがLNPの懸濁液では、この前提が崩れる。

分光光度計が測っているのは、正確には「吸収された光」ではなく 「検出器に届かなかった光」⁠である。透明な溶液なら、届かなかった分=吸収された分と見なせる。

しかし粒子が入っていると、光は散乱によっても検出器から逸れる。装置はそれを吸収と区別できず、⁠見かけの吸光度が実際より高く出る⁠。しかも散乱の強さは粒子径や濃度で変わるため、補正も一律にはいかない。

このため実務では、

といった回避策が取られてきた。RiboGreenによる封入率測定が広く使われているのは、この事情による。

積分球で「逸れた光」を拾い戻す

SFAの考え方は単純である。散乱で逸れた光を捨てずに回収する⁠。

試料を入れたキュベットを、内壁が高反射率の球体(積分球)の中心に置く。散乱した光は内壁で反射を繰り返し、最終的に検出器へ届く。逸れた光が戻ってくるため、⁠検出器に届かなかった光=本当に吸収された光という関係が回復する。

得られるのは、散乱の影響を取り除いた吸収スペクトルである。ここから260 nmの吸光度を読めば、粒子が濁っていてもRNA濃度が求まる。RNAだけでなく、脂質など他の吸収成分のスペクトルも同時に得られる。

原著(Nano Letters/Analytical Chemistry に掲載)では、⁠併行精度は約1.5%、正確さは約5%⁠と報告されている。

「壊さずに測れる」ことの意味

この手法の実務的な利点は、速さより非破壊であることにあるかもしれない。

界面活性剤で壊す方法では、測定に使った試料はそこで失われる。SFAでは粒子が無傷のまま残るため、⁠同じ試料を続けて別の測定に回せる⁠。

を同じ試料で順に測れれば、検体量の少ない開発初期や、少量しか作れない工程開発の段階で効いてくる。

工程管理へ持っていけるか

短時間で測れることは、⁠工程内での測定への道を開く。

LNPの製造では、混合の条件が粒子の性質を決める。含量や封入率を後から測るのではなく、その場で確認できれば、条件の調整が速くなる。PATと連続生産の枠組みに乗せられる可能性がある、という位置づけになる。

ただし、工程管理や出荷判定に使うには別の作業が待っている。

新しい測定法が便利であることと、規格試験として使えることの間には、いつもこの距離がある。とはいえ測りにくさの原因(散乱)に正面から対処している点で、回避策を重ねる従来の方向とは筋の違う解といえる。

※ 本ページは公開情報(GEN の記事および関連する査読論文)をもとにしたProglenth編集部による整理です。測定条件・適用範囲・装置構成の詳細は一次情報をご確認ください。

業界メディア報道
genengnews.com
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本記事は業界メディア等の報道をもとに、Proglenth編集部が独自に見出し・要約・解説を加えて整理したものです。正確性には努めていますが、最終的な仕様・条件は各社の公式情報・一次情報をご確認ください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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