BioProcess International の報道によれば、スイスのCDMO ten23 health が先端医薬品を製造するためのGMP認証を取得した。同社の発表では、Basel と Visp の拠点が対象で、mRNA・siRNA・DNA・アンチセンスオリゴといった核酸医薬について、臨床用から商用までの無菌製造と品質試験を担えるようになる。
核酸医薬の「原薬」と「製剤」は別の会社にあることが多い
オリゴ核酸の製造は、大きく2つに分かれる。
- 原薬(合成):固相合成で鎖を伸ばし、脱保護・切り出し・精製を経て原薬にする
- 製剤(無菌充填):緩衝液で組成を整え、無菌環境で容器に充填し、規格試験を経て出荷する
この2つは要求される設備がまったく違う。合成は有機化学のプラントに近く、製剤は無菌操作の世界である。結果として、原薬メーカーと製剤メーカーが別の会社になり、その間を工程移管でつなぐ形が一般的になっている。
今回の認証は後者、つまり無菌製剤と品質試験の側を広げるものと読める。委託する側から見れば、候補に入れられる充填先が1社増えたという意味になる。
なぜ核酸医薬で製剤先が問題になるのか
抗体であれば、無菌充填を受けられる拠点は数多くある。それでも核酸医薬で製剤先が話題になるのは、要求がいくつか異なるためである。
- 分解を避ける環境:RNAは加水分解とヌクレアーゼの両方に弱い。原材料・器具・作業環境からの汚染管理が、通常の無菌管理に上乗せされる
- 試験項目が抗体と違う:full-length含量、不純物プロファイル、配列確認など、必要な分析法の組み合わせが変わる。試験室側の対応可否が拠点選択を左右する
- 化学修飾ごとの取り扱い:修飾の種類によって安定性が異なり、保存条件と工程時間の設計が変わる
- 送達体(LNPやGalNAc)の有無:粒子として扱うか、分子として扱うかで工程がまったく変わる
つまり「無菌充填ができる」だけでは足りず、この分子群を分かっている試験室が同じ拠点にあるかが実務では効いてくる。今回の発表が製造と試験の両方を挙げているのは、その点を意識した構成といえる。
供給網の地理という論点
もうひとつの含意は立地である。核酸医薬の製造能力は特定の国・地域に集中してきた。欧州域内で臨床から商用までを閉じられる選択肢が増えることは、受託先を選ぶときの条件をひとつ増やす。
siRNAの製造工程は、抗体と比べれば設備が小さく、分散配置しやすい性質を持つ。承認品目が増えるにつれ、こうした中規模の拠点が実際にどれだけ商用供給を担えるかが見えてくる。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International の報道および同社発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。認証の範囲・対象工程・提供時期の詳細は一次情報および同社の公式発表をご確認ください。