細胞処理
2026.09.08Thermo Fisher Scientific約7分

CTS Rotea(Thermo Fisher)——閉鎖系で細胞を洗い、濃縮する

Photo: Julia Ly / Unsplash

Gibco CTS Rotea は、⁠細胞を洗う・濃縮する・分けるという処理を、閉じたまま自動で行う卓上の装置です。原理は向流遠心(counterflow centrifugation)で、細胞治療の製造工程に入ることを想定して作られています。

開発したのは豪州の Scinogy で、Thermo Fisher との協業により2020年後半に上市されました。実験室の遠心機を大きくしたものではなく、⁠自家細胞製品の規模に合わせて設計された装置という位置づけです。

遠心力と逆向きの流れで、細胞を浮かせる

普通の遠心分離は、回して細胞を底に集め、上澄みを捨てます。単純ですが、細胞を扱う工程としては難点があります。

向流遠心はここを変えます。⁠遠心力と逆向きに一定の流れをかけ、細胞を流動層として空中に浮かせたような状態で保持します。細胞は沈まず、押し固められません。メーカーの説明では、この低せん断の処理により95%を超える回収率を保ちながら、高いスループットを得られるとしています(数値はメーカー公表値です)。

浮いた状態を保ったまま液だけを流せるので、⁠洗浄とバッファー交換が連続的に行えます⁠。粒径の違いで分けられるため、細胞の種類による分離にも使えます。用途としては、分離・濃縮・洗浄・バッファー交換が挙げられています。

通気による剪断が培養での細胞への負荷であるのに対し、遠心は下流での負荷です。どちらも「細胞が製品である」以上、収率と機能に直接効きます。

閉鎖系であることの意味

キットはチューブと回転チャンバーを含む使い捨てで、γ線滅菌された状態で供給されます。つまり装置に触れる液の経路が、すべて使い捨て側にある構成です。

これが効くのは、閉鎖系での細胞製造の要求からです。

代わりに、キットの供給が製造の制約になります。単回使用と固定設備の比較でいう、費用構造が設備投資から消耗品へ移るという話です。抽出物・浸出物の評価と、供給者管理も必要になります。

工程のどこに入るか

CAR-Tの製造を例にとると、細胞を洗う・濃縮する場面は一度ではありません。

用途としては CAR-T のほか、幹細胞治療、PBMC の分離が挙げられています。同じ装置が複数の段で使えるため、工程列の中で位置を選べるのが実務上の利点です。

なお、その先の充填は長く手作業が残っていた区間で、Thermo Fisher は製剤化と充填を対象にした CTS Compleo を後から投入しています。Rotea と組み合わせる構成が示されており、細胞処理から充填までを閉じたまま繋ぐ方向にあります。

導入で確認したいこと

以下は一般的な確認事項で、当該製品の仕様を示すものではありません。

装置を入れれば工程が閉じるわけではなく、⁠前後の接続をどう閉じるかが実際の設計です。無菌接続の部材と、バッグの構成を含めて考えることになります。

主要諸元

入力量50 mL〜20 L
最小出力量5 mL
分離チャンバー容量10 mL
処理できる細胞数1回あたり最大 5×10⁹ T細胞(ループ処理で増やせる。4ループで 20×10⁹)
ポンプ流量標準キット 5〜110 mL/min/Hi-Flow キット 30〜160 mL/min
出力細胞濃度5×10⁶〜500×10⁶ cells/mL
細胞回収率95%超
流路キットシングルユース、ガンマ線滅菌済みの閉鎖系

いずれもメーカー公表値です。構成やキットにより異なるため、実際の条件はメーカーの製品ページでご確認ください。

メーカー公式
Thermo Fisher Scientific
製品ページを見る ↗

本ページは各社の公開情報をもとに、Proglenth編集部が整理したものです。仕様・数値はメーカー公表値であり、本ページは販売・推奨を目的とするものではありません。導入の検討では必ず一次情報とメーカーへの確認を行ってください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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