Charles River Laboratoriesと、医薬品製造のデジタル化ソフトを手がけるAutolomousは、受託している品質管理(QC)試験の実行記録を電子化する「Apollo Orchestrate」の稼働を10月6日に発表しました。Charles Riverの「Apollo」プラットフォームに加えた新しい機能で、AutolomousのLES(ラボ実行システム)「autoloMATE」を土台にしています。使い始めるのは、北米と欧州にあるバイオ医薬品の試験受託部門(Biologics Testing Solutions)の拠点です。対象はGMP下のQC試験です。拠点の数や、試験とレビューの期間がどれだけ縮むかは公表していません。
受付から結果のリリースまでの一続きの記録
LIMS(試験データ管理システム)が検体と結果を管理するのに対し、LESは試験の手順そのものを画面で進め、作業のたびに電子記録を残す仕組みです。Apollo Orchestrateは、ApolloとLabWareのLIMSをつなぎ、検体の受付、試験の実行、レビューを一つの流れで扱います。紙で残していた記録は電子に移ります。検体を受け取ってから結果をリリースするまで、どの記録がどこから来たかをデータで追えるとしています。
両社によれば、手作業を減らしてデータの誤りを抑え、試験と記録のレビューを速めます。技術担当と品質保証(QA)の担当者が、書類の確認に割く時間を減らせるとも説明しています。最初の導入で運用の型を標準にして、稼働後にBiologics Testing Solutionsの拠点全体へ広げる計画です。委託元から見える範囲を、時間をかけて広げる構想も示しました。
委託元が監査で確かめる対象
受託試験所の記録は、委託元にとって出荷判定の根拠です。FDAが2025年1月に原薬の受託試験所へ出した警告書には、結果の一部が別の担当者の確認を経ないまま顧客に渡されていたことが書かれています(データインテグリティの解説を参照)。紙の記録では、誰がいつ何をしたかを後から揃えるのに手間がかかります。
AutolomousのCEO、Alexander Seyf氏は「生物学的な試験は、医薬品が安全で有効で、患者に届けられる状態にあることを確かめるものだ。だが研究から商用の出荷までのデータが、分断され、多くは手作業と紙に頼るシステムで管理されていることが、患者への不要な遅れ、誤りの機会、監査のリスク、収益の損失を生んでいる」と述べています(発言は編集部訳)。Autolomousは7月にも、細胞治療の製造ロボットを持つCellular Originsとの連携を発表しました。今回は製造ではなく、試験の現場への展開です。
記録が電子になると、委託元の監査で見る対象も変わります。紙の束を照合する代わりに、システムのバリデーション、権限の設定、監査証跡をどう確かめるかが問われます。
受託先の試験記録は、委託元が出荷を判断する根拠そのものです。その記録が紙から電子に移るなら、委託元が確かめるべきものも、記録の束からシステムの権限と操作の履歴へ移ります。
※ 本ページは2026年10月6日のCharles River LaboratoriesとAutolomousの発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。