Catalentは、米ニュージャージー州プリンストンの細胞治療工場を、Ori Biotechの自動・閉鎖系の細胞治療製造装置「IRO」の拠点(Center of Excellence)にします。Ori Biotechが10月6日、CatalentがOriの提携網「Preferred Partner Network(PPN)」に加わったと発表しました。Catalentは同工場で、IROを使った自家細胞治療のプロセス開発とGMP製造を顧客に提供します。契約の金額や工場に入れるIROの台数、受託をいつ始めるかは公表していません。
装置を替えずに進むGMP製造
IROは、装置と消耗品、ソフトウェア、データ解析を組み合わせ、閉鎖系のまま手作業の介入を減らすように設計されています。1台は電子レンジより少し大きい程度で、積み重ねて生産量を増やします。2025年には、新しい製造技術を対象にしたFDAの先端製造技術(AMT)指定を受けました。Oriは、IROで処理能力が上がり、製造原価が下がり、開発期間も縮むと説明しています。
自家細胞治療は、患者ごとに1ロットをつくる薬です。CAR-Tの製造工程には手作業の開放操作が多く残り、開発の途中で装置を替えると、変更の前後で製品が同等だと示す同等性(コンパラビリティ)の評価を求められます。OriがPPNで描くのは、開発企業が研究段階から使ってきたIROのまま、同じ装置をもつCDMOでGMP製造に進む道筋です。Oriのジェイソン・C・フォスターCEOは、Catalentのような大手CDMOと組むことで、開発企業が「臨床までの時間を縮め、同等性のリスクを減らす」のを助けると述べています(発言は編集部訳)。2025年3月のPPN発足時には、米国でCharles River LaboratoriesやElevateBioなどが加わりました。
商用品の切り替えに1億2,000万ドル
Oriは9月15日、承認済みの自家細胞治療の商用製造をIROへ移す提携を、名前を明かさない製薬企業と結んだと発表しています。期間は10年で、サービスや装置、消耗品の購入などを合わせて最大1億2,000万ドルの規模です。既存の商用工程とIROでつくった製品の同等性を示すことが目的です。
プリンストン工場は、自家と他家の細胞治療を開発から商用製造まで扱う、Catalentの細胞治療の中核拠点です。同社は前日の10月5日にも、二重特異性抗体などを遺伝子配列から原薬まで速く進める受託プログラムを発表しました。細胞治療のフィールドアプリケーションと戦略提携を統括するジョン・トムティシェン氏は、自家細胞治療を再現性よく、より多くの患者に届けるには「IROのような自動・閉鎖系のプラットフォームが欠かせない」としています(発言は編集部訳)。
細胞治療の自動化装置では、Cellaresの「Cell Shuttle」が最初にAMT指定を受けており、同社は自社の工場網で受託まで手がけます。装置メーカーが自ら工場をもつか、既存のCDMOに装置を置いてもらうか、自動化の広げ方の違いもうかがえます。
自家細胞治療の受託では、どの装置でつくるかが、開発の途中で工程を替えるときの負担を左右します。今回の提携は、研究段階で使った装置のまま大手CDMOの工場でGMP製造に進む道を用意するものです。
※ 本ページは2026年10月6日のOri Biotech(Catalentのサイトに掲載)の発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。