分析装置メーカーのMalvern Panalyticalが、米カリフォルニア州サンタバーバラのDimer Instrumentsを買収したと、10月9日に発表しました。Dimerは、バイオ医薬品の研究向けに分析技術を開発する会社です。Malvern Panalyticalが9月に発表した安定性スクリーニング装置「Zetasizer Core」を、共同で開発しました。Malvern Panalyticalは2024年4月にDimerへ少数出資していました。今回の買収は、その出資と共同開発の延長にあります。買収額は公表されていません。
共同開発の成果と買収の狙い
Zetasizer Coreは、3つの測定を標準的なマイクロプレートの上でまとめて行う装置です。DLS(動的光散乱)は粒子の大きさから凝集の兆しを、SLS(静的光散乱)は分子どうしの引き合いと溶液中での安定性を見ます。DSF(示差走査蛍光)は、温度を上げたときにタンパク質がほどけていく様子を追います。96・384・1536ウェルのプレートに対応し、ラボの自動化システムにもつなげられます。同社は用途として、候補分子の探索、製剤開発、品質管理を挙げています。出荷は2027年1月からの予定です(既報)。
Dimerの創業者は、生物物理学的な特性解析と分析装置の専門家であるStephen Minne氏とMichael Larkin氏です。Malvern Panalyticalは、Dimerの研究開発の力に、自社の知見とZetasizerの製品群、世界の顧客網を組み合わせるとしています。社長のChristian Sauber氏は「Dimerとの協業は、Zetasizer Coreという重要な新製品をすでに生んだ。チームを一つにすることで、その成功の上に画期的な新技術を開発し、バイオ医薬品の研究者が抱えるもっとも重要なワークフローの課題のいくつかに応えられる」と述べています(発言は編集部訳)。DimerのCEOでもあるMinne氏は、この技術に何ができるかを3年かけて示してきたと振り返り、今後は開発を速めて新しい道具を世界のラボに届けたいと述べています。
プレートで安定性を測る装置の競争
抗体の開発可能性(developability)の評価では、凝集のしやすさ、熱への強さ、分子どうしの引き合いを早い段階で測り、後工程で詰まる候補を先に落とします。候補が数十本並ぶ段階では、少ない検体で複数の項目を一度に取れる装置が使われます。プレートで光散乱と蛍光を束ねて測る装置は、他社も出しています。Unchained Labsは2025年1月に「Aunty」を発売しました(既報)。
測定の原理ごとの得手不得手は、DLSの読み方や凝集体の分析法の選び方で解説しています。Zetasizer Coreは発表時点で出荷前の装置でした。同社は次の技術も控えているとしており、開発の担い手を社内に移して、それを自前で進める体制を固めたことがうかがえます。
プレートで安定性をまとめて測る装置は、Unchained Labsも製品を出している分野です。Malvern Panalyticalは、装置を一緒に作った相手を買い取り、この分野の開発を社内で続ける道を選びました。
※ 本ページは2026年10月9日のMalvern Panalyticalの発表と、Manufacturing Chemistの報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。