中国の受託製造会社(CDMO)Altruist Biologics が、蘇州の商用工場でEMA(欧州医薬品庁)のGMP査察に合格したと、2026年9月22日に発表しました。同社は中国のバイオ医薬品企業 Innovent Biologics の完全子会社です。同社の発表では、クリティカルな指摘はゼロで、同工場にとって初のEMAのGMP認証です。査察は顧客のEU販売承認申請を支えるもので、顧客名も製品名も公表されていません。
指摘の3区分とクリティカルゼロ
EUの査察では、見つかった不備を「クリティカル」「メジャー」「その他」の3つに分けます。クリティカルは、患者に害のある製品をつくった、またはつくる重大な恐れがある不備です。メジャーは、承認された内容に合わない製品を生みうる不備や、EUのGMPからの大きな逸脱を指します。FDAのNAI・VAI・OAIが査察全体の結果の区分なのに対し、EUの3区分は個々の不備の区分です。ゼロだったのは最も重い区分で、メジャーとその他の指摘は公表されていません。
発表によると、EMAが見たのは、品質マネジメント、施設、データインテグリティの管理、組織運営などです。Kaisong Zhou 会長兼CEOは、成果を品質リスクマネジメントの枠組みによるものとし、世界の提携先に代わって製品を製造し届ける信頼をEMAから得た証しだと述べています(発言は編集部訳)。
EU向けの申請と製造所の査察
EMAの申請前ガイダンスは、EU・EEAの外にある製造所について、直近2〜3年の査察歴と今後の査察予定を申請書類に書くよう案内しています。加速審査を希望する場合は、EU・EEAの当局や、EUと相互承認協定(MRA)を結ぶ国の当局に一度も査察されていない製造所について、申請の少なくとも3か月前に査察担当へ連絡するよう求めています。委託先の査察歴は、申請の早い段階で効く条件です。
同社の説明では、蘇州工場は中国NMPAとメキシコCOFEPRISの査察を受け、米FDAの遠隔での対話型評価も終えていました。EMAはそこに加わる4つ目の当局です。同社によると、抗体の製造能力は6万Lで、抗体薬物複合体(ADC)の臨床用製造ラインもあります。ただし今回の認証は販売承認ではなく、承認は顧客の申請の審査で決まります。
EU向けの製品を中国で委託する選択肢が、査察の実績つきで一つ増えました。CDMOを比べるときは、クリティカルゼロという数字に加えて、メジャー以下の指摘と是正の中身まで確かめる価値があります。
※ 本ページは2026年9月22日のAltruist Biologicsの発表、EMAの公開資料、GEN、Pharma Manufacturing、PharmaSourceなどの報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。