韓国の受託開発製造企業(CDMO)サムスンバイオロジクスは10月13日、スイスのペプチドCDMO、PolyPeptide Groupに対する公開買付けで、成立の条件を満たしたと発表しました。買収には7月に合意しており、買付けは9月15日に始めていました。10月12日に締め切った買付け期間の暫定の中間結果で、対象株式の87.88%の応募があり、条件の66.7%を上回りました。買収額は14億6,000万スイスフランで、同社は韓国の製薬・バイオ企業による買収として過去最大だとしています。買収後の増産計画の規模や、PolyPeptideの既存顧客との契約の扱いは公表していません。
11月末の完了までに残る手続き
応募には、筆頭株主Draupnir Holdingの保有分がすべて含まれます。買付けは特別目的会社Samsung Peptideを通じ、1株44.31スイスフランで行いました。確定した中間結果は10月16日に公表され、10月19日から30日まで追加の買付け期間を設けます。韓国の経済紙ソウル経済新聞によれば、追加期間で保有比率が90%を超えれば、残る少数株主の株式を強制的に取得できます。同社は買収完了後にPolyPeptideの上場を廃止する方針です。代金の支払いは、欧州、インド、オーストラリア、ブラジルなどの当局の承認を得てから行い、11月末までの完了をめざします。
培養のCDMOが化学合成のペプチドを抱える意味
サムスンバイオロジクスがこれまで受託してきたのは、抗体、mRNA、ADCです。中心は抗体で、大型のバイオリアクターを並べて細胞培養の規模を稼いできました。ペプチド原薬の多くは、樹脂の上でアミノ酸を1つずつつなぐ固相合成と、逆相クロマトグラフィーによる精製でつくります。同じGLP-1受容体作動薬でも、分子によって製造ルートが違うため、培養と合成の両方を持つ意味は小さくありません。同社は、自社の大規模製造の経験とPolyPeptideのペプチド技術を組み合わせ、需要に応じて生産能力の拡大を検討するとしています。
日本との関わりも見えています。10月7日にBIO JAPAN 2026(横浜)で講演した同社のJames Choi副社長(EVP)は、日本でADCとペプチドの開発が増え、受託需要が急増していると述べました。同社は日本の大手製薬上位10社のうち数社と案件を進めているとしています。PolyPeptideに原薬の製造を委託している企業は、親会社の交代にともなう品質契約や変更管理の扱いを、受託先に確かめておく必要があります。
ペプチドは糖尿病や肥満症の治療薬の主成分で、同社もこの需要を買収の理由に挙げています。抗体で規模を築いたサムスンバイオロジクスが、ペプチドの生産能力をいつ、どこまで増やすかが次の焦点です。
※ 本ページは2026年10月13日のサムスンバイオロジクスの発表を伝えたKorea Biomedical Reviewの報道(10月7日の同紙記事を含む)と、ソウル経済新聞の報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。