米国のCDMO、Kindevaが、ミズーリ州ブリッジトンの無菌充填拠点に、プレフィルドシリンジ(PFS)用の充填ラインの2本目を設置し、初期の適格性確認を終えたと、医薬品受託業界のニュースサイトPharmaSourceが10月8日に報じました。PFSは、薬液を詰めた状態で出荷する注射器です。適格性確認は、設備が仕様どおりに据え付けられ、動くことを記録で示す手順を指します。入れたのはOptima製の10ヘッド充填機で、生物製剤など複雑な医薬品の充填枠を増やします。このラインへの投資額と、顧客の製品で商用製造を始める時期は明らかにしていません。
毎分300本のシリンジライン2本
同社は注射剤や吸入剤などの製剤を受託開発・製造しています。PharmaSourceによると、ブリッジトン拠点はバイアル、PFS、カートリッジの3種類の容器を、高速のアイソレーター式ラインで充填します。アイソレーターは、作業者と充填部を壁で隔てる装置です。2本のOptimaラインはどちらも0.5〜50 mLのシリンジを最大毎分300本で充填し、充填量と打栓の高さを工程の中で自動的に確かめます。設備はEU GMP Annex 1の考え方に沿い、作業者の介入を減らす設計です。
拠点全体では年間1億5,000万本超を充填できる設計で、将来は2億本超まで広げる計画です。同社の施設紹介ページにも、高速アイソレーター充填ライン4本と、年1億5,000万本超という設計値が載っています。残る2本はバイアル用とカートリッジ用です。
2025年末の計画と、10月の現在地
ブリッジトンでは2023年4月に、グループ会社のMeridian Medical Technologiesが1億ドル超を投じて製造能力を広げると発表していました。2024年10月には、最初のバイアルラインで承認申請用のロットを製造しています。そのときの発表で同社は、2本のOptimaラインの適格性確認を2025年末までにすべて終え、容器3種類で年1億本超をつくれる体制にするとしていました。今回報じられたのは、2本目の初期の適格性確認の完了です。
無菌充填のラインは、適格性確認を終えても、すぐに顧客の製品を流せるわけではありません。培地充填(APS)で無菌操作を確かめ、製品ごとの技術移管とプロセスバリデーションを経て、ようやく商用の枠として使えます。
事業部門を率いる上級副社長のTommy Schornak氏は、業界で発表される能力増強の多さに触れています。そのうえでPharmaSourceに、顧客がいま使える能力は「まだ足りない状況にある」と語りました。David Stevens CEOは、治療が病院の外へ、在宅へと移りつつあると見ています。PFSとカートリッジはその投与を安全で手軽にし、薬剤とデバイスを組み合わせた製品の土台でもあるという説明です(いずれも発言は編集部訳)。シリンジの充填枠をめぐっては、9月末に独Vetterも無菌充填ラインを10本増やすと発表しました。
シリンジ充填の受託先を探すときに確かめたいのは、発表されたラインの本数より、そのラインが適格性確認と培地充填をどこまで終えているかです。2025年末を目標にしていたKindevaの2本目のラインは、2026年10月に初期の適格性確認を終えたところです。
※ 本ページは2026年10月8日のPharmaSourceの報道と、Kindevaの過去の発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。